2011 Fiscal Year Research-status Report
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23790931
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 研人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80505892)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 急性肺傷害 / 好中球活性化 |
Research Abstract |
ICUにおいて敗血症などの重篤な疾患に発症する多臓器不全(MOF)は死亡率が高く、MOFに対する治療成績の改善が望まれる。近年、MOFにおけるorgan crosstalkという概念が提唱されるようになり、慢性腎臓病(CKD)と心血管合併症における心腎連関については様々なメカニズムが存在することが明らかになってきた。一方、集中治療・ICU領域における肺腎連関のメカニズムについても検討が加えられつつある。古典的には尿毒症性肺(uremic lung)という病態が肺腎連関を意味するものであったが、uremic lungには血管透過性亢進という因子に加えて、体液過剰によるvolume overloadの病態と好中球活性化などの炎症による病態が混在しており、末期腎不全症例に生じるuremic lungには前者が、ICUにおいてAKIに合併して発症したARDS/ALIにおいては後者が重要であることが指摘されている(Adv Chronic Kidney Dis 15:284,2008)。本研究においては、TLR4機能喪失変異マウス(C3H/HeJ)および野生型マウス(C3H/HeN)を用いて、両腎摘モデルを作成し、急性腎障害による肺病変の評価を行った。好中球浸潤および活性化を主体とする急性肺傷害(Acute lung injury; ALI)は機能喪失変異マウスにおいて有意に低下しており、ALI発症メカニズムにTLR4が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験モデルを作成し、急性肺傷害がTLR4経路を介して惹起されれていることを傍証するデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は複数の動物モデルで再現性を確認するとともに、TLR4経路に関する分子の動態を検索する予定である。さらに、TLR4および関連分子をターゲットとした新規治療戦略の開発を目指すべく、複数の候補薬剤を急性腎障害動物モデルに投与し、ALI軽減効果を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に引き続き動物実験を主体とした研究を行う。したがって、研究費は実験動物購入および管理費、動物実験試薬購入、血液・組織検査試薬購入、細胞培養実験(血清、培養器等)に使用する。さらに得られた成果を米国腎臓学会などにおいて発表するための旅費として用いる。
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