2012 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全治療への臨床応用を目指したヒト多能性幹細胞から腎前駆細胞への分化誘導
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23790937
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊原 敬文 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (60594182)
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Keywords | 国際情報交換 アメリカ合衆国 / 腎前駆細胞 |
Research Abstract |
申請者は腎臓近位尿細管特異的SLCO4C1トランスポーターを利用した腎不全治療の臨床応用に向けて、ヒトの生理的環境下でのSLCO4C1の機能や発現の検討を目的としている。この目的のため、申請者はヒトiPS細胞から腎前駆細胞(SIX2陽性細胞)を分化誘導するプロトコールの確立を目指している。平成24年度は、平成23年度の目標のうち到達できていなかった(1) ヒト多能性幹細胞由来中間中胚葉から腎前駆細胞への分化誘導プロトコールの確立に関して、化合物や成長因子の組み合わせによって約30%の腎前駆細胞を作製することに成功した。 さらに、平成24年度は(3)ヒト多能性幹細胞より分化誘導したSIX2陽性細胞が、生体内の腎前駆細胞と同様の生理学的および発生生物学的機能を有するか否かの検証、およびマイクロアレイによる遺伝子発現解析や移植実験を行う。(4)ヒトES細胞やマウスiPS細胞においても、同じ分化誘導プロトコールが同様に機能するか否か検討することを目的としていた。(3)に関しては新たに開発した誘導プロトコールを用いて作製した腎前駆細胞が生体内腎前駆細胞と同様の遺伝子発現を有し、尿細管様構造の構築などの発生生物学的機能を有することを確認している。さらに移植実験でも成体腎組織に生着することを確認している。マイクロアレイに関しては、有効な誘導プロトコールの最終確立を行ってから施行予定であり、準備はほぼ終了している。(4)に関しては、現在施行中の段階である。研究期間全体として、iPS細胞から腎前駆細胞への分化誘導プロトコールの確立には成功し、作製した腎前駆細胞の評価も概ね実施あるいは準備を終了している。本研究成果は、これまでに全く報告のない研究成果であり、意義のある内容であると考えられる。
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