2012 Fiscal Year Annual Research Report
血管炎の病態解明に向けたヒト多能性幹細胞を用いた血管側からの病態解析
Project/Area Number |
23790938
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒岡 利和 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (40437661)
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Keywords | 顕微鏡的多発血管炎 / 疾患特異的iPS細胞 / ヒトiPS細胞 / 血管内皮細胞 / 好中球 |
Research Abstract |
血管炎症候群の病因の一つとして近年血管側の素因も疑われている。本研究では、顕微鏡的多発血管炎(MPA)の患者から得た疾患iPS細胞から分化誘導した血管内皮細胞を用いて、血管側から血管炎の発症や進展のメカニズムを解明することを目的としている。平成23年度において、MPA患者3名からiPS細胞を樹立し、そのうち患者1名から樹立したiPS細胞は、樹立のため導入した遺伝子がサイレンシングされ、未分化状態が維持でき、三胚葉系への分化能があること、さらに核型異常がないことを確認した。さらに、この患者1名のiPS細胞と健常日本人1名から樹立したiPS細胞を血管内皮細胞に分化誘導し、遺伝子発現の違いをマイクロアレイによって解析し、健常人に比べて2倍以上発現が増加する遺伝子を約480個、2倍以上発現が低下する遺伝子を約1,600個見出した。 平成24年度において、さらに残りのMPA患者2名からiPS細胞を樹立し、これらのiPS細胞は、樹立のため導入した遺伝子のサイレンシングに加え、未分化状態の維持、三胚葉系への分化が可能であること、さらに核型異常がないことを確認した。 次に、このMPA患者3名と健常日本人3名から樹立したiPS細胞を血管内皮細胞に分化誘導し、マイクロアレイによって発現遺伝子の差異について解析したところ、健常人に比べて2倍以上発現が増加する遺伝子が41個、2倍以上発現が低下する遺伝子が91個候補に挙がった。現在、Real-time PCRを用いて候補遺伝子発現の差異の再現性を確認している。 また、MPAは好中球と血管内皮細胞の相互作用によって病態を形成する可能性が考えられているため、患者iPS細胞由来血管内皮細胞と、患者iPS細胞由来好中球の共培養によるMPA試験管内疾患モデルの構築を継続して行っている。
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