2011 Fiscal Year Research-status Report
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23790940
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 陵平 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00533853)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | IgA腎症 / 腎予後予測因子 / 病理組織学的所見 |
Research Abstract |
増加の一途を辿る透析患者数は、2009年末時点で29万人を上回った。総国民医療費の数%を占めると言われる透析医療費のこれ以上の増加を抑制するためには、透析患者数の増加を減少させなければならない。2009年末時点における新規導入患者数は、糖尿病性腎症が最も多く、第2位はIgA腎症が多くを占めると考えられている慢性糸球体腎炎である。IgA腎症の主要な腎予後予測因子は、血圧、尿蛋白、腎機能、腎病理所見である。本研究の目的は、世界最大規模のIgA腎症の多施設後方視的コホート研究STudy of Outcome and Practice pattern of IgA nephropathy (STOP-IgAN)を用いて、腎予後及びステロイド等の治療の腎保護効果を予測する腎病理組織学的予後予測因子を同定する事である。STOP-IgANは、1992~2005年に大阪大学医学部附属病院、大阪府立急性期総合医療センター、大阪労災病院において腎生検によってIgA腎症と診断された1001例を研究対象とした後方視的コホート研究である。本研究は、腎生検時の血清クレアチニン濃度の1.5倍化をアウトカムと定義し、アウトカムを発症した患者(症例)に対するコントロール(対照)を、コホート内症例対照研究(nested case-control study)という研究手法を用いて1:1の比率で無作為に抽出した。その結果、202例のIgA腎症患者が抽出された。腎生検時に作成された病理標本は退色が著しいため、病理組織学的所見を評価するためには、病理組織標本の再作製が必要である。2012年4月時点において約半数の標本の再作製が終了している。今後残り半数の症例の病理組織標本を作成し、病理組織学的所見を評価し、その腎予後及びステロイド等の治療薬による腎保護効果を統計学的に評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現時点における病理組織標本の再作製は約半数であり、当初の予定よりも遅れている。その原因は、本研究に参加している1施設において、倫理審査委員会における研究承認は受けているものの、同施設における診療体制が変化したために、当該施設から提供される予定であったIgA腎症患者の腎病理組標本を作製するための手続きが変更になったためである。同施設の研究対象患者の病理組織標本は近日中に作製される予定である。全研究対象症例の病理組織標本の再作製が終了後、病理組織学的所見を評価し、その腎予後及びステロイド等の治療薬による腎保護効果を統計学的に評価する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず第一に、現時点において病理組織標本が未だ作製されていない約半数の症例の病理組織標本を作製する予定である。その後、複数の観察者が病理組織学的所見を評価する。なお、病理組織標本は匿名化する事によって、病理組織標本と臨床所見(血圧、尿蛋白、腎機能)等の完全な盲検化が可能となる。盲検化して得られた病理組織学的所見のデータは、その観察者間の一致率を評価した後、腎予後及びステロイド等の治療介入予測能を統計学的に評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在未作成の約半数の研究対象患者の腎病理組織標本の作製に使用する予定である。
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