2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790940
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 陵平 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00533853)
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Keywords | IgA腎症 / 腎病理学的予後予測因子 / Oxford分類 / 腎予後 / コホート内症例対照研究 |
Research Abstract |
増加の一途を辿る透析患者数は、2009年末時点で29万人を上回った。総国民医療費の数%を占めると言われる透析医療費のこれ以上の増加を抑制するためには、透析患者数の増加を減少させなければならない。2009年末時点における新規導入患者数は、糖尿病性腎症が最も多く、第2位はIgA腎症が多くを占めると考えられている慢性糸球体腎炎である。本研究の目的は、世界最大規模のIgA腎症の多施設後方視的コホート研究STudy of Outcome and Practice pattern of IgA nephropathy (STOP-IgAN)を用いて、腎予後及びステロイド等の治療の腎保護効果を予測する腎病理組織学的予後予測因子を同定する事である。腎生検時の血清クレアチニン濃度の1.5倍化をアウトカムと定義し、アウトカムを発症した患者(症例)に対するコントロール(対照)を、コホート内症例対照研究(nested case-control study)という研究手法を用いて1:1の比率で無作為に抽出した。129例を対象にして腎細動脈の硝子化の有無を評価した結果、44例(34.1%)に認められた。多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、硝子化と関連する因子を同定した結果、年齢(オッズ比1.05[95%信頼区間1.01-1.11]、P=0.014)、平均動脈圧(1.05[1.01-1.10]、P=0.022)、尿酸(1.73[1.06-2.83]、P=0.030)が細動脈の硝子化の関連因子として同定された。本研究結果は、IgA腎症の腎予後予測因子として報告されている高尿酸血症は、IgA腎症患者の腎細動脈の硝子化を反映しており、腎血行動態の異常を介して、IgA腎症の腎予後に関連する可能性を示した。高尿酸血症がIgA腎症の予後を予測するメカニズムを示唆する結果である。
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