2011 Fiscal Year Research-status Report
急性腎障害におけるトロンビン切断型オステオポンチンの役割と抑制効果の解明
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23790945
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
入田 純 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (00423442)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / オステオポンチン / トロンビン切断型オステオポンチン |
Research Abstract |
細胞増殖,細胞浸潤やアポトーシスなど多彩な機能を有する炎症性サイトカイン・オステオポンチンは,急性腎障害の進展に重要な役割を果たしている.わずかな腎機能の低下が生命予後にも影響することから,近年急性腎障害の概念が拡がりつつあり,特に虚血性急性腎障害発症の病態生理には血液凝固系の活性化や炎症が重要な役割を果たしている.またオステオポンチンは,組織内でトロンビンによって切断され,切断されたオステオポンチンも,生理活性を有し,強力な炎症作用を引き起こすことが知られている.しかし,このトロンビン切断型オステオポンチンと急性腎障害についての関連は不明である.そこで本研究の目的は,虚血性急性腎障害の病態形成におけるトロンビン切断型オステオポンチン(特にN末端側)の役割とその抑制効果を解明することである.炎症惹起メカニズムの中心的役割を果たしていることが予想されるトロンビン切断型OPNの発現調節機構や活性化制御機構及び抑制効果の解析は,予後不良な急性腎障害の病態解明と治療の一端を担うことができるのではないかと十分期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、野生型マウスを用いて,虚血性腎障害モデルを作製し,現在機能的・形態的解析を行った.また平行してオステオポンチン及びトロンビン切断型オステオポンチン過剰発現マウスを作製している.C57BL/6マウスをドナー及びレシピエントとして,CAGプロモーターを利用し,その下流にオステオポンチンcDNAまたはトロンビン切断型オステオポンチンcDNA,さらにSV40由来poly(A)テイルを連結した融合遺伝子を作製し,マイクロインジェクション法にてマウスに導入した.導入遺伝子の解析にはPCR法を用いて行い,F1トランスジェニックマウスを樹立したところである.
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Strategy for Future Research Activity |
野生型マウス,オステオポンチン過剰発現マウス,トロンビン切断型オステオポンチン過剰発現マウス,およびオステオポンチンノックアウトマウスを用いて虚血/再還流腎障害モデルにおける以下の形態的および機能的解析を行う.腎組織学的検討 (PAS染色・HE染色・マッソントリクロム染色)・血清学的検討 (BUN・Cr・Na・K・Clをautomatic analyzerで測定)・尿化学的検討 (尿中アルブミン・CrをELISAキットを用いて測定)・免疫組織学的検討 (マクロファージ浸潤,線維芽細胞増加・形質転換等)・酸化ストレス関連及び線維化関連遺伝子・タンパク発現の検討.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に動物,試薬類,抗体,プラスティック器具,ガラス器具などの購入のための物品費として使用する.さらに過剰発現マウスを作製を一部外部委託しており,その際の費用の一部として使用する.また研究成果発表のための旅費としても使用する予定である.
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