2013 Fiscal Year Annual Research Report
腎産生GABAの分泌調節が、高血圧の成因維持に果たす役割の解明
Project/Area Number |
23790949
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
谷田部 淳一 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10566681)
|
Keywords | GABA / 腎臓 / 高血圧 |
Research Abstract |
【目的】γ-アミノ酪酸(GABA)をヒトやラットに経口投与すると水利尿とナトリウム利尿が惹起され、血圧は低下する。今回、腎におけるGABA作用の分子機序を明らかにする検討を行った。 【成績】WKYラットの腎皮質には特徴的なGABA関連分子の発現プロフィールが認められることを明らかにした。特に、腎臓ではイオンチャネル型GABA(A)受容体のπサブユニットの発現がユニークで、更にα1とβ3サブユニットの発現も認められた。ラット腎皮質のGABA(A)受容体πサブユニットのmRNA量は、脳に比して約100倍と有意に高い発現量であった。π、α1、β3サブユニットは、主に近位尿細管の管腔側に存在し、共染色が確認された。更に、πサブユニットは集合管に強い染色が認められた。πサブユニットに対する抗体で免疫沈降したサンプルを用いてウエスタンブロットを施行したところ、α1またはβ3サブユニットの抗体に反応する特異的なシグナルが認められた。それらのシグナルは非還元条件下でそれぞれに2量体の形成を示唆する分子量を示し、πサブユニットのシグナルは単量体の分子量を示した。一方、GABA産生酵素(GAD67)減少マウス(GAD67-GFPヘテロノックインマウス)を用いた検討では、野生型マウスとの間で、血圧や心拍数には有意な差がないことを明らかにした。さらに、このGAD67減少マウスでは尿中GABA濃度がむしろ有意に高いことが明らかとなった。腎臓では、GAD67ではない経路によりGABA産生の減少を代償している可能性がある。 【結論】今回の結果から、腎には中枢と異なるGABA系が存在することが示された。腎におけるGABAの産生機序と作用機序について更なる検討を進めることにより、高血圧の病態生理を理解する新たな基礎を築き、高血圧症や腎疾患に対する革新的な診断法・治療法の開発につなげることが出来ると考える。
|