2012 Fiscal Year Annual Research Report
臨床疫学及び医療経済学に基づく二次性副甲状腺機能亢進症の治療戦略確立
Project/Area Number |
23790958
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
駒場 大峰 東海大学, 医学部, 助教 (60437481)
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Keywords | 観察研究 / 費用対効果分析 / 二次性副甲状腺機能亢進症 / シナカルセト塩酸塩 / 99mTc-MIBIシンチグラフィ / 炭酸ランタン |
Research Abstract |
本研究の全体構想は,透析患者の最も深刻な合併症である二次性副甲状腺機能亢進症に対する治療戦略について,医学的・経済的観点から最も適切な治療方針を確立することである。本研究では,大規模コホートを用いて臨床データを収集し,さらにこれを二次利用し,費用対効果の観点から妥当かどうかに関しても検証することを計画している。 大規模コホートでの観察研究に関しては,2年間の観察期間が終了するまでは,二次性副甲状腺機能亢進症に対する治療や検査が患者予後に及ぼす影響は解析できない状況にある。そこで我々は過去の文献やエキスパートオピニオンを参考に推定値を割り出し,シミュレーション分析を行った。 まずシナカルセト塩酸塩の費用対効果について検討した。本研究では,わが国おけるシナカルセトの費用対効果を副甲状腺摘出術が可能な症例,不可能な症例を分けて検証を行った。その結果,シナカルセトは副甲状腺摘出術が実施不可能な状況においてのみ費用対効果に優れることが明らかとなった(Komaba H et al. Am J Kidney Dis 60: 262-271, 2012)。 次に我々は,異所性副甲状腺の位置同定に有効な画像検査である99mTc-MIBIシンチグラフィの費用対効果について,持続性・再発性副甲状腺機能亢進症の患者を対象に検討を行った。その結果,再手術の術前に99mTc-MIBIシンチグラフィを行うことは費用対効果の観点から妥当であることが明らかとなった(2012年5月に49th ERA-EDTA Congress, Parisで発表)。 さらに我々は,2,292名の透析患者を対象に後向きにカルテ調査を行い,新たなリン吸着薬である炭酸ランタンの使用が生命予後の改善に関連していることを明らかにした(2012年5月に50th ERA-EDTA Congress, Istanbulで発表予定)。
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