2011 Fiscal Year Research-status Report
黄連含有イソキノリンアルカロイドの糸球体腎炎治療候補薬としての応用研究
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23790966
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 裕可 愛知学院大学, 薬学部, 助教 (00581026)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 糸球体腎炎 / casein kinase 2 |
Research Abstract |
現在、berberine、palmatine、coptisineがcasein kinase2(CK2)活性、inositol polyphosphate multikinase(IPMK)活性に及ぼす影響を検討しており、継続中である。研究成果は学会発表、論文投稿を行う予定である。 その他に、berberine、palmatine、coptisineがtransient receptor potential(TRP)チャネルに及ぼす影響を検討した。TRPチャネルのうち、TRP vanilloid 1(TRPV1)、TRPV4、TRP ankyrin 1(TRPA1)は生体内で痛みや炎症に関与することが報告されている。ヒト胎児腎臓由来細胞であるHEK293細胞にTRPV1、TRPV4、TRPA1を発現させ、berberine、palmatine、coptisineを添加し、細胞内Ca2+濃度に及ぼす影響を検討した。その結果、palmatineがTRPV1活性化能を有することが考えられた。現在、palmatineがTRPV1を介して細胞機能に及ぼす影響を検討中である。 また、様々なdisease modifying anti-rheumatic drugs(DMARDs)がTRPA1に及ぼす影響を検討した。その結果、オーラノフィン(AUR)がTRPA1を活性化することを見出した。さらに、AURはヒト神経細胞においてもTRPA1を介して細胞内Ca2+濃度を上昇させることが明らかとなった。また、様々なTRPA1アゴニストによる活性化に重要であることが報告されているシステイン残基をセリン残基に置換した変異体を用いることにより、AURによるTRPA1活性化には633番目と641番目のシステイン残基が重要であることを見出した(平成24年3月29日 日本薬学会第132年会にて発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オーラノフィンは実際に臨床において使用されている薬物でおり、オーラノフィンがTRPA1に及ぼす影響を検討することは新規性が高く、臨床意義も高いと考えられたため、優先的に研究を行った。 その結果、抗リウマチ薬であるオーラノフィンが臨床用量においてTRPA1を活性化することを見出した。オーラノフィンはヒト神経細胞においてもTRPA1を介して細胞内Ca2+濃度を上昇させたことから、オーラノフィンを服用することにより、生体に痛みをもたらす可能性があることが考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
Berberine、palmatine、coptisineがCK2活性に及ぼす影響を検討する。さらに、ラットより糸球体上皮細胞、メサンギウム細胞を単離し、これらアルカロイドがIPMK活性、inositol 1,3,4,5,6-pentakisphosphate(I(1,3,4,5,6)P5, IP5生成)、CK2活性に及ぼす影響を検討する。また、炎症性サイトカイン産生や細胞外マトリックス産生に及ぼす影響、メサンギウム細胞の増殖に及ぼす影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究経費は、実験消耗品(遺伝子関連試薬、培養関連試薬、一般試薬、RI関連試薬、実験動物)の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)