2012 Fiscal Year Annual Research Report
髄鞘形成におけるテニューリン4の機能解明と髄鞘関連疾患への応用を目指す研究
Project/Area Number |
23790979
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 喜晴 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 講師 (30596565)
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Keywords | 髄鞘 / オリゴデンドロサイト |
Research Abstract |
これまでに我々は、テニューリン-4(Ten-4)欠損マウスの中枢神経系においてオリゴデンドサイトによる小径軸索の髄鞘形成不全が起こることを示した。本研究では、Ten-4によるオリゴデンドロサイトの分化制御の分子メカニズムを解明することを目的とした。具体的には、Ten-4の結合分子を同定とシグナル伝達経路を解析することを目指した。結合分子の同定では、野生型マウスの脳・脊髄のライセイトと抗Ten-4抗体を用いて免疫沈降を行い、マススペクトロメトリーによってTen-4と共沈降するタンパク質の同定を試みた。抗Ten-4抗体のサンプルではコントロールサンプルと比較して、Ten-4をはじめ様々な特異的なタンパク質が同定された。主に膜タンパク質や細胞内タンパク質が検出され、細胞外液性因子や細胞外マトリックス分子は検出されなかった。これらTen-4結合タンパク質候補の性質から、膜タンパク質は細胞間でTen-4と結合をしている可能性が示され、また、細胞内タンパク質の中には細胞骨格に関連した分子が多かったことから、Ten-4の細胞骨格制御に関わる機能が推測された。 Ten-4の細胞内シグナル伝達の解析として、Ten-4と同じく小径軸索の髄鞘形成に重要な役割を持つfocal adhesion kinase(FAK)に注目した。Ten-4の発現をノックダウンするとFAKの活性化が減少しオリゴデンドロサイトの分化が抑制され、constitutively active FAKを導入することでその表現型が回復することがわかった。これらの結果はSuzuki et al., 2012, J. Neurosci.にて研究期間内に報告した。 本研究によってこれまで明らかにされていなかったTen-4の分化制御メカニズムの一端が解明され、今後さらなる解析により、髄鞘形成の基礎的・応用的研究に役立つものと期待される。
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