2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈新生の制御による脳梗塞治療法開発の基礎的研究
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23790980
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石橋 哲 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (30533369)
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Keywords | 脳血管障害 / 動物モデル / 脳梗塞 / 動脈新生 / 血管新生 |
Research Abstract |
本研究「脳動脈新生の制御による脳梗塞治療法開発の基礎的研究」により、脳表動脈の動脈新生を促進させることによる強い脳保護効果を証明することが出来、将来的には動脈新生促進による新規脳梗塞治療が開発出来ると考えられた。具体的には、以下の点を明らかにした。 1. マウス慢性低灌流モデルをでは、主に大脳皮質の脳血流が低下し主に脳表の軟膜動脈の血管直径が増加し、動脈新生が促進される。2. 動脈新生に伴い、動脈構成細胞である血管内皮細胞、平滑筋細胞の増殖が賦活化される。3. 動脈新生が促進された状態で、脳梗塞を作成すると脳梗塞体積が減少する。4. bFGFの投与により動脈新生はさらに促進され、脳血流増加効果を認める その他、動脈新生を促進することによる脳梗塞治療に関しては、臨床応用を視野に入れ臨床の脳梗塞症例において以下のことが明らかとなった。 1. 動脈新生は中大脳動脈や内頚動脈などの主幹動脈の強い狭窄、あるいは閉塞により出現する。2. 特に閉塞した血管に対する再潅流療法施行時には、動脈新生が促進された症例は長期予後が明らかによい。3. 動脈新生の発達の程度は、個人差が非常に大きい 以上のことから、動脈新生の促進により脳梗塞時の脳保護作用が強く発揮されることが実験的脳梗塞モデルのみならず、実際の臨床症例でも証明された。その発達のメカニズムに関しては、慢性低灌流や主幹動脈の閉塞などshear stress(ズリ応力)が強く関与していることが確認されたが、shear stressに関連するシグナル伝達はいまだ不明であり詳細なメカニズムの解明が必要であると考えられた。また、実際の脳梗塞症例では動脈新生発達の程度は非常に個人差が多く、人為的に賦活化させる治療法は存在しないが、メカニズムを解明することにより動脈新生を利用した新規脳梗塞治療が開発出来ると考えられる。
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Research Products
(12 results)