2012 Fiscal Year Annual Research Report
第4の細胞死TRIADに注目した筋萎縮性側索硬化症治療法の開発
Project/Area Number |
23790992
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森本 展年 岡山大学, 大学病院, 助教 (60598556)
|
Keywords | TRIAD / 第4の細胞死 / ALS / 筋萎縮性側索硬化症 / YAPdeltaC / リン酸化p73 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロン死を引き起こす致死的疾患であるが、その細胞死実行のメカニズムについては明らかにされていない。細胞死にはネクローシス、アポトーシス、オートファジー性細胞死の3つが知られているが、ALSの運動ニューロン死はそのいずれにも完全には合致しない。今回我々は、転写障害が引き起こす極めてゆっくりとした細胞死であるTRIAD(transcriptional repression-induced atypical death)(第4の細胞死)に注目し、ALSの病態との関連を検討した。TRIADにおいては細胞死抑制のシグナルであるYAPdeltaCと細胞死シグナルであるリン酸化p73のバランスが重要と考えられているが、今回我々はALSモデルマウスにおいてこれらの因子との関連を検討した。方法としてはG93A変異SOD1遺伝子導入マウス(Tg)と週齢を一致させた野生型(WT)を12週齢(発症前)、17週齢(発症早期)、19週齢(発症後期)各群n=5とした。結果としては、脊髄前角において、FL-YAP陽性細胞の割合はWTとTgで差がなかったが、YAPdeltaC陽性細胞の割合はTgでは発症前から低下していた。p73は脊髄前角運動ニューロンの減少とともに発現量の減少がみられたが、リン酸化p73の発現量は減少がみられず、Tgにおいてp73のリン酸化の割合が相対的に上昇していた。このことから、ALSモデルマウスにおいて、p73リン酸化とYAPdeltaCの早期からの減少が関係している可能性が示唆された。このことからALSモデルマウスの運動ニューロン死にYAPdeltaCの早期からの減少とp73リン酸化増加が関係している可能性が示唆された。細胞死抑制と誘導のシグナルバランスの調節を標的とした新たなALS治療法の可能性を示した。
|
Research Products
(3 results)