2011 Fiscal Year Research-status Report
孤発性クロイツフェルトヤコブ病におけるプリオン自然発生機構の解明
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23790998
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐野 和憲 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50534343)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | プリオン / 孤発性クロイツフェルトヤコブ病 / dsRNA / 感染 |
Research Abstract |
プリオン病は、各動物種に定常的に発現する正常型プリオンタンパク(PrPC)から構造変換した異常型プリオンタンパク(PrPSc)が中枢神経系にアミロイドとして蓄積し発症するとされている。本研究は、PrPCからPrPScへの構造変換過程に関わるプリオンタンパク以外の因子を同定し、その作用メカニズムを解析することにより、現在全く分かっていない、孤発性クロイツフェルトヤコブ病においてプリオンが自然発生する機構を解明することが目的である。 我々は、プリオン増殖に関わる因子として二本鎖RNA(dsRNA)に注目し、PrPCからPrPScへの変換に対する作用を検討した。PrPCと同じ構造を持つ大腸菌から精製したリコンビナントPrPを、試験管内で間欠的に撹拌することによって異常型に高い効率で変換する方法(Quaking-Induced Conversion; QUIC)を用いて検討したところ、dsRNAは異常型への構造変換を促進した。また、神経由来培養細胞を用いたex vivo実験系におけるプリオン感染によるPrPSc蓄積に対しても、dsRNAはPrPSc蓄積を増大した。一方、一本鎖RNA(ssRNA)は、PrPSc蓄積に影響しなかった。以上の結果から、dsRNAは、試験管内、培養細胞を用いたex vivo実験系において、PrPCからPrPScへの変換を促進することが明らかとなり、dsRNAがプリオン病に関わる因子の一つであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験管内、培養細胞を用いたex vivo実験系において、プリオン増殖に関わる因子を特定でき、現在その作用機序を解明するために実験を行っているから。さらに今後、実験動物を用いたin vivo実験系へ展開できうると考えているから。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、プリオン増殖に関わるdsRNA以外の因子はいまだ同定できていない。そこで今後は、dsRNAの作用機序を解明する実験を重点的に行い、孤発性クロイツフェルトヤコブ病とdsRNAとの関連について検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、dsRNAのプリオン増殖に関わるシグナル経路を明らかにしたいと考えているので、そのためにプラスミド、遺伝子導入試薬、抗体、酵素などの生化学試薬類が必要となる。さらに、in vivo実験においてdsRNAと孤発性クロイツフェルトヤコブ病との関連を検証するために実験用マウスを使用する。また、国内、海外の学会での成果発表と論文発表のための費用も必要となる。
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Research Products
(2 results)