2011 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病原因分子LRRK2のドミナントネガティブによる細胞死機構の解明
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23791000
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
太田 悦朗 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (60508042)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / LRRK2 / 細胞死 / ヘテロダイマー |
Research Abstract |
日本の優性遺伝パーキンソン病(PD)家系(相模原家系)の発症原因は、LRRK2のキナーゼドメイン内のI2020T変異に起因している。本年度の研究では、I2020T変異型LRRK2が引き起こす細胞死メカニズムを明らかにするため、1)正常型LRRK2(WT)とI2020T変異型LRRK2(I2020T)のヘテロダイマー形成時における蛋白質安定性の解析、2)WTとI2020Tのヘテロダイマー形成時における細胞生存率の解析、3)LRRK2の基質分子に関する解析、について研究を進めた。結果を以下に示す。1)Native-PAGEによって、WTとI2020Tは、ほとんどがダイマーで存在することを明らかにした。次に、相模原家系PD患者のLRRK2発現様式と同様に、WTとI2020Tを共発現させたHEK293細胞におけるLRRK2蛋白質の安定性をパルスチェイス実験で調べた。その結果、WT/WTに比べてWT/I2020Tのヘテロダイマーが存在する細胞内のLRRK2半減期は著しく低下していた。2)WTとI2020Tを共発現させたHEK293細胞における細胞生存率の差異を調べた。その結果、細胞生存率は、WT/WTに比べてWT/I2020Tを共発現させた細胞において低下していた。3)LRRK2の基質候補分子としてAkt1を同定したため、SH-SY5Y細胞のLRRK2 siRNA実験、リコンビナントLRRK2蛋白質を用いた機能解析を行った。その結果、LRRK2はAkt1のSer473をリン酸化することがわかった。さらに、正常型LRRK2に比べてI2020T、G2019S、R1441C変異型LRRK2ではAkt1のリン酸化能および結合能が低下していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究から、LRRK2の基質候補分子としてAkt1を同定し、変異型LRRK2ではAkt1のリン酸化能が低下していることを明らかにした。これは、パーキンソン病を引き起こす変異型LRRK2を理解するための、重要な手掛かりが得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
LRRK2の基質候補分子が同定されたことから、正常型LRRK2とI2020T変異型LRRK2のヘテロダイマー形成時におけるキナーゼ活性の解析を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
LRRK2の基質候補分子として同定したAkt1に着目して、正常型LRRK2とI2020T変異型LRRK2のヘテロダイマー形成時におけるキナーゼ活性の解析に関して重点的に進めていく。また、I2020T変異と同様の細胞死メカニズムを起こす変異型LRRK2を探索するために、その他の変異型LRRK2(R1441C、R1441G、R1441H、Y1699C、R1941H、I2012Tなど)細胞内半減期の解析に関しても進めていく。
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