2012 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病原因分子LRRK2のドミナントネガティブによる細胞死機構の解明
Project/Area Number |
23791000
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
太田 悦朗 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (60508042)
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Keywords | パーキンソン病 / LRRK2 / 細胞死 / ヘテロダイマー / Akt1 |
Research Abstract |
日本の優性遺伝パーキンソン病(PD)家系(相模原家系)の発症原因は、LRRK2のキナーゼドメイン内のI2020T変異に起因している。 最終年度の研究では、I2020T変異型LRRK2が引き起こす細胞死メカニズムを明らかにするため、当研究室で樹立したV5タグ付LRRK2を安定発現するヒト神経芽細胞株SH-SY5Y(V5-LRRK2安定発現SH-SY5Y)を用いて、正常型LRRK2(WT)とI2020T変異型LRRK2(I2020T)のヘテロダイマー形成時における1)蛋白質安定性への影響、2)LRRK2の基質分子Akt1と細胞生存率への影響、について研究を進めた。結果を以下に示す。 1)相模原家系内PD患者のLRRK2発現様式と同様にするため、正常型V5-LRRK2安定発現SH-SY5YにI2020T変異型LRRK2を共発現させ、LRRK2の蛋白質安定性への影響を調べた。その結果、WT/WTホモダイマーに比べてWT/I2020Tのヘテロダイマーが存在する細胞におけるLRRK2は、有意に減少した。 2)上述した正常型V5-LRRK2安定発現SH-SY5YにI2020T変異型LRRK2を共発現させた細胞において、LRRK2の基質分子Akt1と細胞生存率への影響を調べた。その結果、WT/WTホモダイマーに比べてWT/I2020Tのヘテロダイマーが存在する細胞では、Akt1のSer473のリン酸化レベルが有意に減少した。さらに、過酸化水素未添加における細胞生存率には差異が認められなかったが、過酸化水素添加時において、WT/I2020Tのヘテロダイマーが存在する細胞の細胞生存率は有意に減少した。 これらの結果から、I2020T変異型LRRK2は、WT/I2020Tのヘテロダイマー形成によって、正常型LRRK2の蛋白質安定性およびキナーゼ活性に影響を及ぼし、細胞死を誘発することが考えられた。
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