2012 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病における細胞老化因子Ecrg4の解析ー受容体同定から創薬に向けて
Project/Area Number |
23791001
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久住呂 友紀 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60398625)
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Keywords | 細胞老化 / アルツハイマー病 / 受容体 / 分泌因子 / Ecrg4 / 認知症 |
Research Abstract |
近年我々は、生体の脳の老化の一因として神経細胞の細胞老化が関与していることを、新規の細胞老化誘導分泌因子Ecrg4を同定することにより明らかにした。一方、Ecrg4は正常の脳の老化のみならず、アルツハイマー病患者(ApoE型)の海馬でもmicroarayにて著明な発現の上昇を認めるとの報告がある。初年度はアルツハイマー病モデルマウスとして最もpopularであるtau transgenic mouse(CAMKII-4R)で細胞老化の状態が関与しているかを検討したが、明らかな有意差を認めなかった。最終年度はApoE4 transgenic mouseを用いて前年度と同様の実験を行った。具体的には、Tg/Non-Tg mouseに関して脳切片を作成し、細胞老化のマーカーとして確立されているSA-β-gal染色、およびEcrg4、cyclin D1、D3による染色を行い、細胞老化と細胞周期との関係を検討した。さらに脳組織よりcDNAを作成しqPCRを施行、および脳組織よりタンパク質を抽出してウェスターンを行った。RNAレベルでは違いは明らかではないが、SA-β-gal活性やタンパクレベルでEcrg4の上昇を認めた。データに関しては個体差が大きいためマウスの個体数を増やして検討中である。 アルツハイマー病に対する装薬を視野に入れたEcrg4受容体検索に関しては、昨年同様、受容体を多量に発現しているCG4細胞にEcrg4-Fcを添加し、得られたタンパク抽出液にプロテインGを加え沈降させ、SDS-PAGE、銀染色を行った。本年度はlysis bufferの条件を詳細に検討することにより、Human IgG Fcを添加したコントロールのものと比較していくつか候補になりえるバンドが検出された。mass spectrometryに関してはいずれの機種を用いるかを検討しているところである。
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