2013 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症におけるTDP-43陽性封入体の部位別神経変性機序の検討
Project/Area Number |
23791006
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中村 正孝 関西医科大学, 医学部, 助教 (80575142)
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Keywords | 国際研究者交流 / アメリカ / Smurf2 / pSmad2/3 / Smurf2 / ALS |
Research Abstract |
TDP-43はユビキチン陽性封入体を伴う前頭側頭葉変性症や筋萎縮性側索硬化症(ALS)のユビキチン陽性封入体の主要な構成蛋白として同定された。しかし脳内に認められる封入体にはC末断片が豊富に存在しているが、N末断片は少ない。一方脊髄に認められる封入体では、C末断片もN末断片も認められることから、同じTDP-43陽性封入体でも変性部位により、異なる変性機序が存在することが推測される。以前、ALSの脊髄前角細胞のTDP-43陽性封入体にTGFβの主要なシグナル因子であるpSmad2/3が陽性反応を示すことを報告したことから、今回pSmad2/3とそのE3リガーゼであるSmurf2に関して、ALSの様々な部位におけるTDP-43陽性封入体が、同様の免疫反応を示すか否か免疫組織化学的検討を行った。ALSの脊髄前角細胞と延髄舌下神経細胞のTDP-43陽性封入体には、pSmad2/3とSmurf2の免疫反応を認めたが、Betz細胞や海馬顆粒細胞などの脳内におけるTDP-43陽性封入体には、これらの免疫反応は認められなかった。このことから、ALSでは部位により、封入体形成過程や神経変性が異なることが推測された。次に、細胞モデルを用いてTGFβ/SmadシグナルとTDP-43凝集体形成との関連について検討した。核移行シグナルを変異させたTDP-43を培養細胞に発現させると、プロテアソーム阻害下で細胞質内にTDP-43陽性凝集体を形成した。この細胞モデルを用いてTGFβ/Smadシグナルの賦活に応じて、TDP-43凝集体形成が影響を受けるか否か解析したところTGFβ/Smadシグナルの賦活により細胞死を引き起こすことなくTDP-43 凝集体形成が抑制され、ALSにおける治療法の開発においてTGF-β/Smadシグナルが重要なターゲットとなる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)