2012 Fiscal Year Research-status Report
ポリグルタミン病におけるRNA代謝異常とRNA結合タンパク質
Project/Area Number |
23791007
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
紀 嘉浩 独立行政法人理化学研究所, 構造神経病理研究チーム, 研究員 (80415140)
|
Keywords | ポリグルタミン / RNA結合タンパク質 / 神経変性疾患 / リピート伸長疾患 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ポリグルタミン病モデルマウスの脳由来のRNAを元に、遺伝子発現解析を行った。本年度では、疾患の経過と遺伝子発現状況の関係を調べるため、疾患初期、中期、末期のそれぞれの時点のサンプルを用いた。その結果、各段階を特徴づける遺伝子およびRNAプロセシングを同定することが出来た。重要と思われる遺伝子・RNAプロセシングに関しては、今後、RT-PCRなどで確認を取る予定である。確認がとれたものに関しては、疾患の状況を反映する分子マーカーして利用できる可能性がある。 生体内でのポリグルタミン凝集体構成タンパク質を明らかにするために、ハンチントン病モデルマウスの脳からハンチンチン凝集体を濃縮・精製する方法を検討した。ここでは、EGFPを付加したハンチンチンexon1のトランスジェニックマウスを用い、蛍光強度を指標に凝集体を多く含む画分を選別した。濃縮した凝集体の構成要素をいくつかの処理によって段階的に溶出し、各溶出画分に含まれるタンパク質を質量分析によって同定した。その結果、各画分において複数のタンパク質を同定することができた。一部のタンパク質に関しては、ウエスタンブロットによって確認を行った。この結果、培養細胞の凝集体で同定されたタンパク質の一部が検出されたほか、脳のみで検出されるタンパク質もあり、脳を出発材料として用いる重要性も示唆された。モデルマウス脳における凝集体構成タンパク質の局在性に関しては、灌流固定したマウス脳切片などを用いた免疫組織化学的な検討を加える予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では実験の一部に疾患モデルマウスを用いるが、本年度は十分な数の動物を確保できなかった。そのため、予定していた実験の一部を行うことができなかった。 なお、現在はマウス確保の目途はたったため、当初の予定の実験を行うことが可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後もおおむね予定していた通りの内容で研究を推進していく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度において、十分な数の動物を確保できなかった関係で、予定していた実験の一部を行うことができなかった。そのため研究費の繰越が生じた。 次年度においては、マウスの飼育にかかる経費、マウスの解析にかかる消耗品(抗体、遺伝子発現解析試薬)、マウスから得られた結果を元にした検証実験の消耗品(細胞培養試薬、遺伝子導入試薬、siRNA、核酸精製キット)の費用として未使用額を使用する。
|
Research Products
(1 results)