2011 Fiscal Year Research-status Report
小胞体ストレス応答が血管リモデリング・粥状動脈硬化に果たす役割の検討
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23791012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高 俊弘 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70455781)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / メタボリックシンドローム / 小胞体ストレス / 糖尿病 |
Research Abstract |
小胞体ストレス応答の血管リモデリングと粥状動脈硬化に果たす役割を検討するのが今回研究の目的である。WFS1欠損マウスを中心とした解析から、血管リモデリングや粥状動脈硬化の発症・進展における小胞体ストレスの役割について実験を行った。8週のC57BL/6マウスを野生型マウスにし、同じ週齢のWFS1欠損マウスにおける炎症による反応性内膜肥厚の検討した。大腿動脈にカフ傷害を施し、3週間後に同部位の動脈を採取、HE染色とElastica-Masson染色により内膜の肥厚度を検討した結果、WFS1欠損マウスでは野生型マウスに比べカフ傷害による反応性内膜肥厚が2倍ぐらい進んでいた。カフ内の血管のmRNAを抽出し、炎症反応や小胞体ストレス、酸化ストレスに関連した分子の発現を検討し、WFS1欠損マウスでは炎症性因子、接着因子および平滑筋増殖因子が有意に上昇していた。WFS1・アポE欠損マウスにおける粥状動脈硬化の検討では動脈硬化のモデルマウスであるアポE欠損マウスと、WFS1欠損マウスを交配し、高コレステロール血症を背景とする粥状動脈硬化の進展をWFS1の有無で検討した。様々な週齢の高コレステロール食を負荷したWFS1・アポEダブル欠損マウスを用いて大動脈全体の内面をOil-red-O染色の脂肪染色することで動脈硬化病変を定量化した。WFS1・アポEダブル欠損マウスではアポE欠損マウスに比べ、22週齢を超える時点から動脈硬化が有意に寸進んでいた。また、大動脈のmRNAを抽出し、炎症反応や小胞体ストレス、酸化ストレスに関連した分子の発現を検討した結果、WFS1・アポEダブル欠損マウスでは炎症性因子、酸化ストレス関連因子、接着因子、平滑筋増殖関連因子の発現が上昇していた。大動脈の免疫組織学的検討を行なう。特にマクロファージやアポトーシス、小胞体ストレス関連、酸化ストレス関連蛋白に関して検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
80%完成。その理由として動脈硬化関連実験特に高コレステロール血症を背景とする粥状動脈硬化の進展に関する実験は様々な時点での進展状況を検討することでモデル作成し、一定の実験nを揃うのに時間がかかるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)骨髄移植を用いた反応性内膜肥厚の検討6週齢の野生型マウスとWFS1欠損マウス、アポE欠損を背景としたWFS1野生型とWFS1欠損マウスを用いて骨髄移植を行う。ドナーとレシピエントの組み合わせによって、全身にWFS1を有する、骨髄のみWFS1を有する、骨髄のみWFS1を欠損する、全身にWFS1を欠損する、の4群のマウスを作成し、骨髄移植2週後カフ傷害を行い、反応性内膜肥厚に関する検討と骨髄移植2週後高コレステロール食を負荷する。これにより、血管リモデリングにおけるWFS1の役割と大動脈の粥状動脈硬化進展における血球細胞(マクロファージ)と血管細胞(内皮や平滑筋細胞)でのWFS1の役割を解析する。2)腹腔マクロファージを用いた炎症反応性の検討 と培養細胞におけるsiRNAを用いたWFS1ノックダウウンの検討野生型とWFS1欠損マウスの腹膜由来のマクロファージを培養し酸化LDLの取り込みやアポトーシス、炎症性分子、小胞体ストレス、酸化ストレス応答に関して検討を行う。動脈硬化惹起性の負荷に対する反応を半定量的PCRの手法を用いて検討する。また、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、マクロファージの各培養細胞に対して、WFS1のsiRNAを用いてWFS1蛋白のノックダウンを試みる。本検討から、動脈硬化巣に存在する各種細胞におけるWFS1発現抑制による小胞体ストレス・酸化ストレス応答などへの効果を個別に直接解析し、in vivoの実験で認められた動脈硬化促進効果のメカニズムを解明できると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)本研究の遂行にあたって多くの研究費を使用するのが、実験動物およびその飼育費用である。また、高コレステロールを大量に含んだ特殊飼料の負荷により食餌性の高コレステロール血症を背景とする粥状動脈硬化の進展動脈硬化マウスモデルを作成するが、この飼料は特別注文になるため、通常の飼料の数倍と非常に高価である。したがって、消耗品費の中で血中各種パラメター測定用キットなどを含め、免疫染色用に使う抗体や組織や細胞のmRNAを精製、cDNAから各種標的遺伝子発現を検討に使う半定量性RT-PCRの試薬などは非常に高額であり、占める割合も相応に計画した。2)当該研究室以外の外部の検査機関への検査依頼―組織中の血清脂質プロファイルの詳細な検討は外部の検査機関に委託し、検討していただく予定であり、検査費用を必要とする。3)研究成果発表や学術講演への参加―本年度の研究内容を最終的に取りまとめ、国内学会や国際学会へ参加のうえ発表することも検討している。また、関連した学会や学術集会などへの参加をすることで、有意義な情報交換の場と考えられる。
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[Journal Article] Blockade of the NF-NB Pathway in the Endothelium Prevents Insulin Resistance and Prolongs Lifespans2012
Author(s)
Hasegawa Y, Saito T, Ogihara T, Ishigaki Y, Yamada T, Imai J, Uno K, Gao J, Kaneko K, Shimosawa T, Asano T, Fujita T, Oka Y, Katagiri H.
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Journal Title
Circulation
Volume: 125
Pages: 1122-1133
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Involvement of Endoplasmic Stress Protein C/EBP Homologous Protein in Arteriosclerosis Acceleration With Augmented Biological Stress Responses.2011
Author(s)
Gao J, Ishigaki Y, Yamada T, Kondo K, Yamaguchi S, Imai J, Uno K, Hasegawa Y, Sawada S, Ishihara H, Oyadomari S, Mori M, Oka Y, Katagiri H.
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Journal Title
Circulation
Volume: 124(7)
Pages: 830-9
DOI
Peer Reviewed
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