2011 Fiscal Year Research-status Report
IRF-4を標的とした1型糖尿病の新規治療法の開発
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23791036
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
赤澤 諭 長崎大学, 大学病院, 医員 (50549409)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
【背景】Interferon regulatory factor-4(IRF-4)はtype 1 インターフェロンの遺伝子発現を制御する転写因子である。【方法】IRF-4の1型糖尿病病態への関与を検討する目的でNOD background IRF-4ホモ欠損マウス(irf-4nullNOD),ヘテロ欠損マウス(irf-4wt/nullNOD)および野生型マウス(irf-4wtNOD)をそれぞれ作製し解析を行った。【結果】irf-4nullNOD,irf-4wt/nullNODでは糖尿病発症は完全に抑制され、irf-4nullNODでは膵島炎を認めず、irf-4wt/nullNODも膵島炎レベルは高度に抑制された。irf-4wtNOD ,irf-4nullNODマウス由来のCD4+分画(CD4wt/ CD4null)CD8+分画(CD8wt/ CD4null)細胞を組み合わせた養子移入の結果,CD4wt/CD8 wtの移入では,80%(8/10)に糖尿病が誘導されたのに対して,CD4 null /CD8 wtの移入では20%(1/5)、CD4wt/CD8 null、CD4null/CD8 nullの移入では糖尿病は誘導されず,IRF-4がCD4+,CD8+T細胞両者のEffector機能に関与していることが示唆された。irf-4nullNOD において、activated T cell分画 ,memory T cell分画,regulatory T cell分画の低下を認めた。irf-4wt/nullNODでは、activated T cell分画 ,memory T cell分画頻度はirf-4wtNODと相違を認めず、regulatory T cell分画のみ低下を認めた。【総括】IRF-4はT細胞依存性の膵島炎形成およびそのEffector機能に必須の転写因子である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1型糖尿病の病態におけるIRF4の関与を明らかにすることを目的として、IRF4遺伝子欠損NODマウスの解析を施行している。本研究により、IRF4の発現減弱に伴い、膵島炎・唾液腺炎・自己抗体産生が高度に抑制( IRF-4ホモ欠損マウス(irf-4nullNOD)では完全抑制)され、IRF4が膵島炎をはじめとした自己免疫現象の形成に必須の因子であることが証明された。また、養子移入によるin vivoの検討ではその障害はCD4陽性T細胞・CD8陽性T細胞、両方の機能異常に伴うことが明らかにされた。CD4陽性T細胞のFACSによるサイトカインの細胞内染色では、irf-4nullNODではactivated T cellの分画の低下・IL17産生障害・regulatory T cellの低下が認められ、CD4陽性T細胞の機能異常の一部を説明しうる可能性があると考える。実験開始当初より目的としていた、(1)臨床的フェノタイプ解析(糖尿病累積発症率・膵島炎重症度・自己抗体の評価) (2)免疫学的フェノタイプ解析(養子移入実験によるリンパ球のin vivoの機能解析・FACSによるCD4T細胞の機能解析(activated T cell / regulatory T cell 等)・FACSによるCD4T細胞のサイトカイン分泌解析)等を既に終了している。上記の臨床的・免疫学的フェノタイプ解析が大きく進行しており、本研究は概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
IRF4遺伝子欠損に伴いCD8陽性T細胞の機能異常も示唆されており、今後CD8のin vitroでの解析を行っていく予定である。具体的には、CD8活性化に重要と考えられている各種転写因子(emos / T-bet / Blimp-1)の検討、GranzymB/perfrinといった機能分子の測定をFACSやRT-PCRにて行く予定としている。これらの解析を行った上で、IRF4リン酸化を阻害すると報告されている、ファスジルを用いた検討(臨床的フェノタイプ・免疫学的フェノタイプ解析)を行う。臨床的フェノタイプの解析として、ファスジルをNODマウスに経口投与し、糖尿病発症・膵島炎・自己抗体産生を観察する。また、免疫学的フェノタイプ解析として、FACSによるCD4T細胞の機能解析(activated T cell / regulatory T cell分画の測定 / 各種リンパ球サブセットのサイトカイン産生能の評価)やCD8陽性T細胞における機能分子(GranzymB / perforin)の測定、RT-PCRによる各種転写因子の評価(Th1:T-bet, Th2:Gata3, Th17: RoRγT, CD8:emos, T-bet, Blimp-1)を行う予定としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究において、今後、RT-PCR / ELISA / FACS / 細胞培養を予定しており,消耗品として,PCRキット・ELISAキット・FACSに使用する抗体・ヘルパーT細胞の特異的分化を目的とした細胞培養に使用する刺激抗体等が必須である。既に購入済みの物品もあわせて、不足分を次年度の研究費より購入予定である。また、次年度は、研究成果を12th International Congress of the Immunology of Diabetes Societyや日本糖尿病学会年次学術集会にて発表予定であり、その経費として使用予定である。
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