2012 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞におけるオートファジー標的分子の同定・解析
Project/Area Number |
23791043
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
内田 豊義 順天堂大学, 医学部, 助教 (90465055)
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Keywords | オートファジー / プロテオミクス / 膵β細胞 / ERp57 |
Research Abstract |
オートファジーは、細胞小器官の分解とリサイクルを通じて細胞恒常性に重要な役割を果たしている。膵β細胞特異的オートファジー欠損マウス(Atg7⊿β-cell)は、ブドウ糖応答性インスリン分泌低下による著しい耐糖能障害を呈し、膵β細胞の形態学的にユビキチン化タンパク質の蓄積やミトコンドリアの膨大、小胞体の拡張とともに膵β細胞のアポトーシス増加および増殖能の低下を認めた。これらの結果から、オートファジーは膵β細胞形態・機能維持に重要な働きをしていることが明らかとなった。2型糖尿病患者の膵β細胞においてオートファジー不全が示唆されており、オートファジーの標的分子の同定は2型糖尿病における膵β細胞機能不全の病態解明に繋がることから検討を行った。Atg7⊿β-cellとコントロール(Atg7f/f)マウスの膵島内に新規発現・増加しているタンパク質を比較検討し、ERp57(PDIA3)を同定した。ERp57は主に小胞体に局在し、糖タンパク質のフォールディングにおいて中心的役割を果たしているジスルフィドイソメラーゼであり、Atg7⊿β-cell膵島でERp57のタンパク質発現増加の再現性が確認された。次にオートファジー不全に伴う膵β細胞におけるERp57発現増加の意義を解析するためにテトラサイクリン誘導性Atg7 ノックダウンINS-1細胞(ラットインスリノーマ細胞株)を作製し、この細胞においてもERp57の発現の増加を確認できた。ERp57の細胞保護作用が報告されており、siRNAを用いてERp57を抑制したAtg7 ノックダウンINS-1細胞のSubG1解析を行ったところ、アポトーシスの増加がみられた。一方、Atg7野生型INS-1細胞ではERp57の抑制による変化はみられなかった。これらの結果よりERp57はオートファジー不全に伴う膵β細胞障害に保護的に作用していると考える。
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