2011 Fiscal Year Research-status Report
新規タンパクNix制御因子PKCδによる膵β細胞容積調節に関する研究
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23791044
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤本 啓 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40372974)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | β細胞容積 |
Research Abstract |
本研究では、β細胞のPKCδ-Nixのシグナル伝達と細胞死の様式を明らかにすること、さらに、糖尿病モデルマウスのPKCδをβ細胞特異的に欠失することで、β細胞容積の回復と糖尿病の改善を目的とした。「PKCδがβ細胞死を誘導する」仮説を証明するものである。 インスリン分泌細胞であるMIN6細胞株を用いたin vitroの実験において、アデノウィルスベクターを用いたPKCδの過剰発現は、MIN6細胞死を誘導し、Nix転写活性とタンパク発現を増加させ、caspase-3を活性化することが判明した。さらに、PKCδ過剰を発現したMIN6細胞においてNixをノックダウンすると、MIN6細胞死とcaspase-3の活性化が抑制された。さらに、PKCδ過剰発現したMIN6細胞において、ミトコンドリア依存性壊死の阻害剤とcaspase-3の阻害剤にて、相加的にMIN6細胞死が抑制された。以上より、PKCδによるβ細胞死にはPKCδ依存性経路は存在することと、その細胞死にはミトコンドリア依存性壊死とアポトーシスが関与することが示唆された。 今後は「PKCδがβ細胞死を誘導する」という仮説を個体レベルで証明することを予定している。 上記の結果は、第71回 アメリカ糖尿病学会にて報告した。Fujimoto K, Sasaki T, Utsunomiya K, Dorn GW, Polonsky KS. PKCdelta induces pancreatic beta cell death in a Nix-dependent manner. 第71回 アメリカ糖尿病学会. サンディエゴ2011年 6月.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵β細胞特異的PKCδノックアウト(PKCδKO)マウスを用いた個体レベル実験系を予定していたが、アメリカよりの搬入と認可に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は主に、PKCδKOマウスの樹立を目指す。共同研究者からPKCδf/+マウスの凍結胚を入手しており、下記の実験を開始できる状況下にある。 はじめに、PKCδf/+凍結胚からマウスを樹立。そして、PKCδ flox(PKCδf/+)マウスを交配させ、PKCδf/fマウスを樹立する。その後、PKCδf/fマウスと膵β細胞特異的な遺伝子であるRat insulin promoter 2 (RIP2)またはPdx1のプロモーターによってCre-recombinaseを転写するRIP2-CreまたはPdx1-Creマウスと交配する。これにより、膵β細胞特異的にPKCδ遺伝子を欠失したPKCδKOマウスを樹立する。個体レベルおける「PKCδがβ細胞死を調節する」仮説を証明する下準備のとなる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はマウスの交配と樹立が大きな目的である。よって本年度の研究費の主な使用はマウスの飼育代と遺伝子型の決定に必要な試薬となる。
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