2011 Fiscal Year Research-status Report
新規な糖・脂質・コレステロール・胆汁酸代謝調節因子としてのSIKの機能解析
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23791048
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
上尾 達也 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, 研究員 (80513803)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脂質代謝 / コレステロール代謝 / リン酸化 |
Research Abstract |
SIK3が関与するシグナルカスケードについて同定するため、野生型、KOマウスの肝臓での単車関連遺伝子群の発現量をリアルタイムPCRにより測定した。その結果、KOマウスでは糖新生経路の遺伝子発現量が上昇、脂質合成経路が減少していた。その一方血中コレステロール濃度にも異常が生じているにも関わらずコレステロール代謝関連遺伝子の発現量には大きな変化は見られなかった。また餌による影響を特定するため、普通食、高脂肪食、高コレステロール食、高胆汁酸食を与えた場合の遺伝子発現量も同様に測定したところ、高脂肪食では発現量に大きな差は見られず、高コレステロール、高胆汁酸食を与えた場合、コレステロール代謝関連遺伝子が野生型と同等の反応を示さずKO側で発現量が低くなる傾向が見られた。ここからSIKKOマウスではコレステロールシグナルに対する応答に異常が生じている可能性が示唆された。またSIK 標的蛋白質を同定するため二次元電気泳動による解析を行った。野生型マウスおよびSIK-KOマウスより初代培養したマウス胎児繊維芽細胞のタンパク質のリン酸化パターンを解析したところ野生型とKOマウスではリン酸化されたタンパク質のパターンが異なっていた。またそこに活性型、不活性型のSIK3を導入したとき、活性型を導入した場合のみ野生型のリン酸化パターンに戻っていたことから、この解析でリン酸化に差がついたタンパク質がSIK3の直接、間接の標的であることが強く示唆された。また胆汁中の胆汁酸についてHPLCにて分析を行ったところ、野生型とKOマウスと分離パターンが異なっており、組成が変化していると推定された。その結果胆汁酸合成系に変化が生じており、胆汁酸代謝異常が引き起こされている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では標的蛋白質の同定には肝臓からの初代培養細胞を用いて実験を行うことになっていたが、実際には肝細胞はKOマウスから培養することが困難であったため解析を開始することができなかった。そこで肝臓ではなくKOマウスからでも容易に培養することができた胎児繊維芽細胞を用いて解析を行い、候補タンパク質を見出すことができた。またSIK-KOマウスの繁殖成功率の低さからサンプルの調整に難航してしまい代謝産物の解析も遅れている傾向にある。また所属の変更に伴うトラブルなどもあったため実験遂行に支障が生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
所属の移動に伴い、提出した計画のうち遺伝子発現制御の解析に関しては難しくなってきている。そこで今後の遂行計画としては標的蛋白質および蓄積物質の同定に重点を置いて行くことを考えている。そのうち標的蛋白質の同定に関しては前年度にすでに候補タンパク質はいくつか見いだされているため、それらタンパク質を同定可能な量まで精製し解析を行うことを予定している。また、血液などに蓄積した代謝産物の解析に関しては、分析に用いるサンプルの収集、および分析に必要な機材の手配は終了しており、すぐに解析に入る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費も備品には用いず、タンパク質精製、代謝産物の解析に必要とされる消耗品費として主に使用する予定である。そしてタンパク質の同定に関しては質量分析等の外注による解析が必要になる可能性があるためその費用に充てることを考えている。
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Research Products
(2 results)