2012 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋におけるグルココルチコイドレセプターとmTORのクロストークの機構と意義
Project/Area Number |
23791050
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 宣明 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (30396890)
|
Keywords | ミオパチー / 筋萎縮 / ロコモティブシンドローム / ステロイド副作用 / 栄養 |
Research Abstract |
本研究は、骨格筋代謝、骨格筋量調節における内分泌ホルモンシグナルと栄養センシングのクロストークならびに副腎皮質グルココルチコイドレセプター(GR)とその下流転写因子ネットワークによる遺伝子発現制御の意義に関する理解を進展させ、グルココルチコイドが治療薬として用いられる際の副作用である筋萎縮を克服する方法の開発に貢献できる分子基盤を構築することを目的とした。 生理量の内因性グルココルチコイドおよび、薬理量投与したグルココルチコイドが、マウス骨格筋(腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋、長趾伸筋、足底筋)において惹起する遺伝子発現変化を同定し、それらの制御機構と生理的・病態生理的意義を、骨格筋特異的GRノックアウトマウスと対照マウスの比較により解析した。また、グルココルチコイド筋萎縮モデル動物において、骨格筋mTORC1活性を分岐鎖アミノ酸の経口投与によって一過性に上昇させることが、筋萎縮病態とその発症メカニズムに与える影響を解析した。 その結果、骨格筋GRは転写因子Kruppel-like factor 15 (KLF15)、Forkhead box O (FoxO)1, 3、の発現を誘導するとともに、これら下流転写因子と協調してGR転写カスケードを形成し、多彩な標的遺伝子の転写を一括して制御することが示された。これら標的遺伝子群の機能は、タンパク質分解系、アミノ酸分解系、といった異化促進機能および、mTORC1阻害によるタンパク質翻訳抑制系による同化抑制機能に大別され、骨格筋量を減少させる機構の両翼を担っていると考えられる。さらに、mTORC1活性化はGRによるこれら標的遺伝子群の転写活性化をプロモーター結合レベルで抑制し、グルココルチコイドによる筋萎縮の発症を予防することを動物レベルで実証した。
|
Research Products
(10 results)