2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791051
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
横田 健一 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50424156)
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Keywords | 高血圧 |
Research Abstract |
高血圧は成人人口の3人に1人が罹患し、心血管疾患における最大のリスクファクターである。本態性高血圧発症に関与する遺伝子については、近年ゲノムワイドな大規模SNP解析から複数の遺伝子が明らかにされつつある。しかしながら、これらの遺伝子の分子機能解析については手つかずのままである。アルドステロンはミネラルコルチコイド受容体MRの生体内リガンドであり、腎遠位尿細管および大腸において、ナトリウムの再吸収を介して、血圧上昇をもたらす。本研究で、我々はエピゲノム制御を介したMRによる転写制御機構の解析と高血圧発症メカニズムの解明を目的とした。生化学的手法により、MRによる転写活性を調節する機能未知因子CASZ1を同定した。CASZ1はその遺伝子内に高血圧発症関連SNPが報告されていたが、分子機能は不明であった。ヒト腎臓皮質を用いた検討により、そのSNPがCASZ1発現レベルに影響を及ぼすeSNPであることが示された。また、機能解析の結果、CASZ1はヒストン脱アセチル化活性を有する転写抑制性複合体であるMi-2/NuRD複合体とMRの両者をbridgingするアダプターとして機能し、ヒストン脱アセチル化を介したエピゲノム制御によりMR標的遺伝子ENaCαやSGK1の発現を抑制することを明らかにした。さらに、ヒト腎臓皮質においてCASZ1の発現量とMR標的遺伝子ENaCα、SGK1の発現量に逆相関を認めた。以上、本研究では高血圧関連遺伝子CASZ1の機能をアルドステロンシグナル経路に結び付け、MR転写活性をlimitするエピゲノム制御因子として機能する分子機構を示した。
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Research Products
(2 results)