2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胚性幹細胞・誘導多能性幹細胞のステロイド産生細胞への分化機構の解明
Project/Area Number |
23791053
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
園山 拓洋 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70582112)
|
Keywords | 再生医療 / ES細胞 / iPS細胞 / 副腎 / ステロイド |
Research Abstract |
ヒトES/iPS細胞をステロイド産生細胞への分化誘導に当たり、まず胚様体を介した方法を試みた。ヒトES細胞(H9、KhES1)とヒトiPS細胞(201B7)を、14日間浮遊培養を行って胚様体形成を行い、さらに接着培養で分化誘導を行った。RT-PCR、及び培養液中のステロイドホルモンを行ったところ、一部のステロイド合成酵素の発現を認め、培養液中にはプロゲステロンを検出することができた。しかし、同時に胎盤特異的ホルモンであるhCGをも産生しており、副腎皮質・性腺系の細胞ではなく、胎盤のtrophoblastに近い細胞であると考えられた。 副腎皮質・性腺系の細胞を得るため、次に、ヒトES細胞、iPS細胞を中胚葉系の細胞に分化させ、更にステロイド産生細胞に分化させうる遺伝子を導入する方法を試みた。ヒトES/iPS細胞を剥離して小塊にしたのち接着培養下でGSK3β阻害薬を添加して培養したところ、FLK-1やPDGFRαを発現する中胚葉系の細胞に分化した。この中胚葉系細胞に対して、ステロイド産生細胞分化のmaster regulatorであるSF-1を導入したところ、RT-PCRで副腎皮質束状層に近いステロイド合成酵素発現プロファイルを示し、培養液中にはコルチゾールをはじめとするステロイドホルモンを検出することができた。これらの細胞はhCGは産生したおらず、この方法で得られたステロイド産生細胞は副腎皮質に近い細胞と考えられた。この方法で得られた細胞は未分化細胞に比較してACTH受容体の上昇を認めるものの、生理的濃度のACTHに対する反応は見られなかった。また、分化後の細胞は増殖能に乏しく、動物への移植に十分な量の細胞を得ることはできなかった。しかしながら、ヒトES/iPS細胞からの副腎皮質に近い細胞への分化誘導への報告は初めてであり、今後再生医療や副腎分化研究への応用が期待される。
|
Research Products
(7 results)