2012 Fiscal Year Annual Research Report
グレリン分泌低下マウスを用いた摂食脂肪蓄積におけるグレリンの生理的意義の検討
Project/Area Number |
23791055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有安 宏之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50378650)
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Keywords | グレリン / 遺伝子改変動物 / 摂食 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
本研究では、ジフテリアトキシン受容体 (DTR) 強制発現システムを用いて、後天的にグレリン分泌細胞を破壊しうるマウスを作製し、循環血中グレリンの生理学的役割を検討した。グレリンプロモーターの下流にヒトDTR cDNAを結合したコンストラクトを作成し、グレリン分泌細胞にDTRを強制発現するGPDTR-Tgマウスを作製した。このGPGTR-Tgマウスは、ジフテリアトキシン(DT)投与によってグレリン分泌細胞が破壊され、血中グレリン濃度は検出限界以下まで低下する(野生型(WT)マウス vs. GPDTR-Tgマウス 64.0±6.0fmol/ml vs. 5.0>fmol/ml )。この循環血中グレリンが低下したマウスを用いて、グレリンの摂食調節における役割を検討した。 グレリン分泌低下マウスの1週間の平均摂食量は27.1±0.6 gであり、WTマウス28.2±0.6gと比較して有意差を認めなかった。また昼夜の摂餌パターンの解析では、WTマウスが日中に1日摂餌量の22.7%、夜間に77.3%を摂取したのに対し、グレリン分泌低下マウスは、日中に22.0%、夜間に78.0%を摂取しており、両者の間に有意な差は認めなかった。16時間絶食後の再摂食量や社会行動ストレスを与えた状況下でも摂食について検討したが、有意な変化を認めなかった。解析し得た範囲において、血中グレリン濃度が低下した状況下において、摂食行動は正常に維持されていた。しかしながら、高脂肪食下では両群の平均摂食カロリーは有意差を認めないにもかかわらず、グレリン分泌低下マウスにおいて脂肪利用が高まっており、体重増加がWTマウスと比較し有意に抑制されていた。このように、循環血中グレリンは摂食には影響を与えないものの、エネルギー利用効率の修飾を介して体重調節に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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