2012 Fiscal Year Research-status Report
ナトリウム利尿ペプチドの内軟骨性骨化におけるクロストーク
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23791056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 寿人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (50537347)
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 軟骨代謝 / C型ナトリウム利尿ペプチド |
Research Abstract |
CNP/GC-B/cGMP系とTGFβ/BMPファミリーの相互作用を明らかにするために、CNPがBMP下流シグナルに与える影響を検討した。 BMPは軟骨細胞の増殖・分化に影響を与えていることが明らかとなっていることから軟骨細胞であるATDC5を用いてin vitroにおけるCNPがBMP下流シグナルに与える影響を増殖能を解析できるMTTアッセイを用いて検討した。具体的に、6-wellにATDC5細胞を一定数それぞれまいてVehicle群、CNP単独添加群、BMP2単独添加群、BMP2およびCNP共添加群の4群に分けてコンフルエントに至る前の段階で6日間添加培養を行ってMTTアッセイを行った。その結果、Vehicle群、CNP単独添加群では同様の結果であった。しかし、BMP2単独添加群、BMP2およびCNP共添加群ではVehicle群、CNP単独添加群と比べてそれぞれ有意に低下を認めた。だが、BMP2単独添加群、共添加群では有意な違いは認めなかった。前年度の結果と合わせてこの実験系ではBMP2がATDC5細胞の増殖能を抑制することが明らかとなった。また、BMP2単独添加群、共添加群では有意な違いは認めなかったことからBMP2のATDC5細胞の増殖能抑制作用はnon-smad経路である可能性が示唆された。次に、軟骨細胞の分化マーカーであるALPアッセイを4群で検討した。コンフルエントに達した6-wellのATDC5細胞に3日間添加した。その結果、Vehicle群、CNP単独添加群では同様の結果であった。また、BMP2単独添加群、共添加群ではVehicle群、CNP単独添加群と比べてそれぞれ有意に増加を認めた。だが、BMP2単独添加群、共添加群では有意な違いは認めなかった。前年度の結果と合わせてこの実験系ではBMP2のALP活性作用はnon-smad経路である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BMP2を野生型マウスおよびCNPトランスジェニックマウスの筋肉内に注射して異所性石灰化を誘発することを予定していた。しかし、当初の投与量では異所性石灰化を誘発することは困難であった。よって、当初は予定していなかったBMP2投与量の調節を目的とした予備実験を行う必要が出てきたため、当初の予定より計画が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画を順調にこなし、実験結果も新規性に富み、興味深い結果を得ていることから、この結果をさらに発展させるために生体における生理的な意義を確認することを主眼としてさらなる検討を当初の研究計画に従って行っていくこととする。具体的にはBMP2を野生型マウスおよびCNPトランスジェニックマウスの筋肉内に注射して異所性石灰化を誘発することを予定しており、BMP2の異所性石灰化に与えるCNPの影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ATDC5においてVehicle群、CNP単独添加群、BMP2単独添加群、BMP2およびCNP共添加群の4群でのcGMP産生量をELISA法をするためにELISAの測定キットを購入する。また、ATDC5細胞を培養するために培養皿や培養液や試薬の購入を行う。 BMP2をマウスの筋肉内に投与することで異性骨化を誘導する手法を用いて、CNPノックアウトマウスやCNPの循環血中濃度が上昇したCNPトランスジェニックマウス(CNPの末梢投与モデルマウス)に異所性骨化を誘導することでCNPがBMPシグナルがもたらす異所性骨化に与える影響を解析する。解析方法としてはレントゲン画像による異所性骨化の表面積の測定することで評価することを計画していることから動物の飼育費やBMP2の試薬購入費用、レントゲンフィルムの購入を予定している。
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