2012 Fiscal Year Annual Research Report
血球細胞における転写因子KLF5の機能解析と臨床応用へむけた基礎的分子機構の解明
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23791072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松村 貴由 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80436485)
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Keywords | 血球細胞 / 巨核球 / 血小板 / 血管新生 / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究は、転写因子KLF5の機能解析を通し、血球細胞全般の分化制御機構・機能発現機構を明らかにすることが目的であり、研究内容は多岐にわたったが、その中で巨核球分化におけるKLF5の機能解析の成果について中心に記載する。 申請者は、造血幹細胞から巨核球分化の過程でKLF5が発現することをみいだし、巨核球・血小板特異的にKLF5を欠失させたPf4-Cre;Klf5flox/floxマウスの解析をすすめた。その結果、このマウスでは末梢血中の血小板数に著変ない一方で、一部の血小板において血小板凝集に必須の表面抗原が欠失していることがわかった。このマウスにおいては出血時間が延長し、止血後の再出血の頻度も増加していた。さらに、in vivoイメージングシステムにて、腸管の毛細血管にレーザーをあて、それによる血小板の凝集を観察したところ、レーザー照射後の血小板の血管壁への付着も、その後の血小板凝集塊の形成も、有意に抑制されていることがわかった。In vitroでの各種試験においても、血小板の機能異常は明らかであった。このため、このマウスにおける、血管内皮細胞成長因子(VEGF)および線維芽細胞成長因子(bFGF)誘導性の血管新生能を検討したところ、通常のマウスでは蛇行しよく発達した血管・リンパ管の新生が確認された一方で、KLF5欠失マウスでは未発達で直線的な血管・リンパ管が散見されるのみで、血管新生能・リンパ管新生能の減弱は明らかであった。このことは、血小板機能が血管新生、リンパ管新生に大きな役割を持っていることを示唆している。現在、この背景にある分子機構につき、引き続き検討を進めている。 その他、T細胞の末梢での分化、顆粒球系細胞の機能発現におけるKLF5の役割についても解析を進めている。
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