2011 Fiscal Year Research-status Report
慢性骨髄性白血病の急性転化および白血病幹細胞の出現・維持におけるメカニズムの解明
Project/Area Number |
23791074
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中原 史雄 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80581181)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 白血病 / 慢性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト慢性骨髄性白血病急性転化(CML-BC)サンプルでは20症例中8症例という高い頻度でHes1の発現上昇を認め、これらHes1発現高値サンプルにおいてHes1関連遺伝子の変異を全エクソンシークエンスも活用して詳細に検索した。複数の遺伝子において変異を見つけ、現在その遺伝子変異を用いたin vitro, in vivo実験を進めている。またHes1発現上昇にはHedgehog pathwayが重要であることが判明し、それに関係した実験を進めている。 慢性骨髄性白血病の急性転化もしくは白血病発症にHes1が必須であるかを検索するために、Hes1ノックアウトマウスを利用して解析を進めており、結果が得られつつある。Hes1によって誘導される遺伝子を発現マイクロアレイを用いて解析し、いくつかの重要な遺伝子が見つかっており、発現誘導の機序を調べつつある。 CML-BC以外の急性白血病でもHes1が他の活性化型変異と協同して白血病を発症させるかを検討しており、Hes1とFlt3-ITDを組み合わせたin vivo, in vitro実験を進めており、両者の協調による白血病発症があることが分かりつつある。 JAK/STAT経路, Ras/Raf/MEK/ERK経路, PI3K/Akt経路など他のシグナル系とHes1の関連解析では、Hes1導入細胞株を用いた実験では、IL-3依存性の細胞株がサイトカイン非依存性になるにはJAK/STAT経路, Ras/Raf/MEK/ERK経路, PI3K/Akt経路の3経路のうち、後者2つが必須であることが判明し、追加の確認実験を進めている。以上のように、各種実験を行い結果が得られつつある状況である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的に概ね順調に進みつつある。ただし見つかった遺伝子変異については全てが慢性骨髄性白血病の急性転化に関わっている訳ではないことが実験で判明しており、有望な候補遺伝子に実験を絞って進めつつある。またノックアウトマウスを利用しての実験も概ね順調だが、より確実な結果を得るためにさらなる移植実験が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在得られている結果をもとに、さらにin vivoおよびin vitroの実験を進める。見つかっている遺伝子変異のうち、急性転化発症には関係ないと思われる変異に関係した実験は早期に中止し、有望な遺伝子変異での実験を進める。Hes1によって誘導されることが分かった各種の重要な遺伝子での実験を進め、慢性骨髄性白血病の急性転化や白血病発症に重要かどうかの結果を出来るだけ早く得られるようにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
移植などのin vivo実験、増殖や分化を解析するin vitro実験などに主には使用し、さらに追加の解析が必要な項目に研究費を使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)