2011 Fiscal Year Research-status Report
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23791076
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田所 優子 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (00447343)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 細胞内ATP |
Research Abstract |
本研究課題では細胞内ATP濃度調節による恒常性維持システムの解明を目指し、Lkb1-AMPK-mTORシグナルによる造血幹細胞の維持・増殖・分化の制御機構について理解することを目的としている。本年度はAMPKfloxマウスの準備を進めると同時に、Lkb1floxマウスの解析・正常造血幹細胞のATP濃度測定・正常造血幹細胞におけるLkb1-AMPKシグナル活性化の解析を行った。まずLkb1floxマウスを用いて解析を行った。タモキシフェン投与によりLkb1遺伝子欠損後の解析を行った結果、遺伝子欠損1週間後では対照マウスとの差が見られなかったものの2週間後において血液細胞の急激な減少が認められ死亡することが確認された。Lkb1flox造血幹細胞を正常マウスに移植後に遺伝子欠損を誘導しても同様の現象が確認された。さらに骨髄内の解析を行った結果、造血幹細胞画分が減少していることが明らかとなった。次に、正常造血幹細胞における細胞内ATP濃度の測定を行った。定常状態において造血幹細胞の細胞内ATP濃度は、培養細胞株などのそれと比較して非常に低濃度であった。続いて正常造血幹細胞におけるLkb1-AMPKシグナルの活性化について、リン酸化AMPK抗体を用いた造血幹細胞の免疫染色法により解析を行った。本年度は細胞外のグルコース濃度の影響によるAMPK活性化の変化を解析した。低グルコースから高グルコース環境まで濃度を変化させて解析を行った結果、低グルコース環境下においてAMPKの活性化亢進が認められ、高グルコース環境下ではAMPKのリン酸化の程度は低下することが明らかとなった。さらに、それぞれのグルコース環境下で一定期間培養した正常造血幹細胞をマウスに移植し、幹細胞機能の変化について解析を行った。その結果、それぞれ異なるグルコース環境下においても幹細胞機能を維持していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であったAMPK欠損マウスを用いた解析においてはAMPK欠損マウスの準備に予定よりもやや時間が掛かっているが、Lkb1欠損マウスの解析および正常造血幹細胞での細胞内ATP濃度測定やAMPK活性化については予定通り進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
AMPK欠損マウスを用いた解析を進めるとともに、当初の実施計画通りに研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、主に実験動物であるマウスやプラスチック製品、試薬などの消耗品の購入に充てる。また、成果発表のための旅費、実験動物飼育費にその他の費用として使用する予定である。
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