2011 Fiscal Year Research-status Report
リンパ球活性化マーカーTFLの免疫制御システムの解明
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23791081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
皆川 健太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (80432574)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | TFL |
Research Abstract |
我々の同定したTFLはサイトカインなどの分子をRNAレベルで転写後調節することによりリンパ球の増殖やアポトーシスを制御し、TFLKOマウスでは実験的自己免疫脳脊髄炎が強く発症する。これらの分子メカニズムを明らかとすることを目的に研究を行い、以下の成果を得た。【炎症性疾患モデルを用いたTFLの免疫制御のメカニズムの探策】EAE誘導されたマウスより取り出したCNS、リンパ節、脾臓の細胞を抗原(MOGペプチド)で再刺激することにより産生されるTh1/2/17のサイトカイン産生量について調べたところ脾臓やリンパ節のサイトカインは変化ないものの、CNSに浸潤するリンパ球においてはTFL欠失マウスでは有意にTh17が誘導された。この効果はEAE発症後期において顕著に認められることから、TFLはサイトカインの分解フィードバック制御に寄与していることが予想された。同時に制御性T細胞の割合も検証すべく、脾臓細胞における制御性T細胞への誘導を検討したが差は認められなかった。症状をひき起こすサイトカインのRNAの制御にTFLが関与していると考え、IL17の3’UTRコンストラクトを用いてルシフェラーゼアッセイを行ったところ、TFLベクターは野生型と比して有意にIL17の分解を促進した。抗原提示細胞側の免疫制御異常によるEAE発症の可能性も考えられる。我々は、TLRの刺激によりマクロファージにおけるTFLが誘導されることを見出した。また、TFLが脱ユビキチン化に寄与し炎症の調節を行うことも報告した。しかしながら、EAEの系においてはこれらの関与は認められなかった。誘導されるTFLが存在しないことにより抗原提示細胞としてのBリンパ球のサイトカインプロファイルについては今後の検討課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、研究計画通りにおおむね順調に進行している。リンパ腫におけるTFL発現プロファイリングについては、現在進行中であり、来年度までにはおおむね成果を出せる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
【EAE以外のモデルマウスでのTFL関与の検討】EAEの他に同様のTh17依存の系として遅延型過敏症モデルも検討する。また、移植片対宿主病(GvHD)の系を用いてTFLKOマウスのTリンパ球を移植したマウスのGvHD重症度を評価したい。GvHDの発症はホストの抗原提示細胞に依存しているため、この実験系ではTリンパ球の機能をみるのに適しておりTFLがTリンパ球でのサイトカイン産生にどのような制御を行っているかがを明らになると思われる。近年Th17の影響がGvHDや関節炎の発症初期に重要な役割を担っていると考えられている。TFLKOマウスのリンパ球でTh17が活性化しているならばそれぞれのモデルマウスでの表現型によりTh17の役割を検証できるモデルマウスとなる可能性がある。【リンパ腫におけるTFL発現プロファイリング】TFLのFISHにより15.9%のリンパ腫にTFLの遺伝子領域が欠失していることが分かった。そこで、作成したモノクローナル抗体を利用して、免疫染色やフローサイトメトリー解析によりTFL発現の強弱がリンパ腫病型と相関しているか検討する。すでに採取された検体を用いて臨床研究に基づきTFLの発現の有無がリンパ腫の予後や化学療法感受性に影響を及ぼすか調べる。【TFLの新規標的分子の同定】TFLの標的分子はサイトカインなどのRNA以外にもマイクロRNAなど数多くあると推測される。事実、TFLのファミリー分子はマイクロRNA制御にかかわることが報告された。そこでTFL抗体を用いてIPを行い、共役沈降されたRNA/miRNAアレイを用いて網羅的解析する。このような手法でTFL関連RNAおよびマイクロRNAを同定していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の多くは試薬などの消耗品に使用される。また一部は動物実験施設にかかる費用に使用する。また。旅費や論文投稿にかかわる費用なども研究費より使用する。
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Research Products
(3 results)