2012 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球活性化マーカーTFLの免疫制御システムの解明
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23791081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
皆川 健太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (80432574)
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Keywords | TFL / Zc3h12d |
Research Abstract |
我々は、B細胞性リンパ腫の患者検体より、新規のがん抑制遺伝子TFL(別名ZC3H12D)を同定し報告してきた(Br J Haematol. 139(1):161-3, 2007)。この分子は正常の人の末梢血Tリンパ球およびBリンパ球に特異的に発症し、白血病細胞株の増殖を抑えるがん抑制遺伝子としての機能を持つことを報告した。さらに、TFLは細胞質のRNAを制御すると近年注目を浴びているプロッセッシングボディ(P-body)に局在しその機能を発揮していることも明らかにした(Mol Cancer Res. 7(6):880-9. 2009.)。 次にTFL遺伝子欠損マウスを作製しその解析に取り掛かった。TFL遺伝子欠損マウスは上記のMCPIP遺伝子欠損マウスと異なり、長期にわたり生存したが、脾臓のTリンパ球を刺激するとIL-2などのサイトカインが増加していることがわかった。TFLの発現は獲得免疫の中心を担うリンパ球に多く発現していることより、TFLが自己免疫疾患に何らかの役割を果たしているのではと考えいくつかの実験を行ったところ、ヒトの多発性硬化症のモデルマウスとしてよく知られている実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental autoimmune encephalitis: EAE)においてTFLマウスが野生型のコントロールマウスに比べて脳炎発症(四肢麻痺の程度)が遷延していることが明らかとなった。さらに脳内に浸潤しているCD4陽性Tリンパ球はThサブセットのTh17に多く偏りが認められ、Th17細胞を脳内で多く維持することにより麻痺の遷延が起こっていることが予想された。また、TFLはIL-17サイトカインのRNAレベルで分解制御していることも突き止めた(論文投稿中)。
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