2011 Fiscal Year Research-status Report
新規IL-5Rα鎖の生物活性と好酸球分化機構における役割の解明
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23791098
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
石原 研治 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00312596)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 好酸球 / IL-5Rα |
Research Abstract |
好酸球は気管支喘息などのアレルギー疾患の病態の進行に深く関与するエフェクター細胞である。IL-5 は好酸球の分化・成熟に必須なサイトカインであるが、分化・成熟した後の好酸球にも作用し、同細胞を活性化したりアポトーシスを抑制したりする。これまで IL-5 のターゲットとして IL-5Rα (variant 4) 鎖が同定され、IL-5 の作用はすべてこの既知 IL-5Rα 鎖 (variant 4) を介して発揮されるものと考えられていた。しかし、IL-5 が好酸球に対し分化誘導作用を発揮する分子メカニズムに関しては既知 IL-5Rα (variant 4) 鎖では説明できない点があり、探索した結果、ヒト IL-5 レセプター (IL-5R) α 鎖の 2 つの新規 splicing variantsを同定し、variant 7 (AB288089) および variant 8 (AB288090) と命名して遺伝子データベースに登録した。解析を進めると、IL-5Rα variant 7 & variant 8 は分化した好酸球でなく造血幹細胞に特異的に発現することを示唆する結果が得られ、この結果から IL-5 による造血幹細胞から好酸球への分化過程において variant 7 & variant 8 が何らかの役割を持つことが考えられた。そこで、その詳細を明らかにするために、既知の IL-5Rα (variant 4)、 variant 7 および variant 8 を細胞に発現させる系を構築した。すなわち、レトロウイルスベクターにこれらの遺伝子を組み込んだ。今後、各種培養細胞や造血細胞にベクターを感染させ IL-5Rα variant 4、variant 7 および variant 8 を発現する細胞をクローニングし assay に用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は「造血幹細胞から好酸球への分化におけるIL-5Rα 鎖 variant 7 と variant 8 の役割を明らかにし、今まで未解明であった好酸球分化機構を説明すること」を目的とし、本成果は好酸球数の増加を好酸球の分化レベルで抑制する薬物の開発につながると考えられる。1 年間の研究において、目的タンパク質を解析するための発現系を構築することがもうすぐ終わるためおおむね順調である。ただ、昨年3月に起こった地震により研究機器が破損し、新たに研究をさせることができたのは 6 月くらいであったため、その点で若干のおくれはあると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-5Rα 鎖variant 7 および variant 8 が造血幹細胞に発現し、IL-5 による好酸球への分化誘導が終了すると発現が認められなくなることを明らかにしたが、実際に好酸球への分化に variants 7 および 8 が関与しているのかは明らかに出来ていないため、この点を明らかにする。また、Variant 7 とvariant 8 の生物活性、および既知 IL-5Rα 鎖の相違について、分子レベルで明らかにすることを目的として、既知 IL-5Rα 鎖と同様に variants 7 および 8 が βc 鎖とヘテロダイマーを形成し IL-5 のシグナルを伝達するのかを解析する。また、associate するような蛋白質があるかどうか、さらに、IL-5 以外のリガンドも存在するのか解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は直接経費が 700 千円であるので、研究を進めるための消耗品費と旅費での使用が主になると思われる。
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