2012 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン‐21の分子機構の解明とその制御による免疫疾患の新規治療法の検討
Project/Area Number |
23791099
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 太智 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00466674)
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Keywords | インターロイキン21 / 全身性エリテマトーデス / 末梢血 |
Research Abstract |
Interleukin (IL)-21はB細胞のクラススイッチと分化、自己抗体産生を誘導するサイトカインであり、多くの自己免疫疾患の感受性遺伝子にコードされる分子である。本研究はその分子機構を解明し、全身性エリテマトーデス(SLE)をはじめとした自己免疫疾患の理解、および新規治療につながる知見を得るために計画された。 一般にIL-21産生細胞は濾胞ヘルパーT細胞とされ、ヒトの研究は難しいと考えられている。我々はIL-21関連の遺伝子発現に着目し、SLE患者末梢血におけるIL-21、およびIL-21Rの発現亢進を確認した。この現象は関節リウマチやシェーグレン症候群ではみられず、SLE特異的で抗DNA抗体価や血清IgG値などのSLEの臨床指標と相関した。 次いでSLEと健常者を対象とし、末梢血IL-21産生T細胞を同定、その特徴がICOS high、CXCR5+の濾胞ヘルパーT細胞様であることを確認した。当然ながら末梢血IL-21産生T細胞はSLE患者で増加していると考えられたが統計学的な証明には至らなかった。この点は、疾患自体のheterogenityや疾患活動性が低い症例も対象としていたためと考えられ、追加の解析で明らかにする予定である。 一方、末梢血IL-21産生T細胞には、IFN-γ、IL-4、IL-17を共産生する細胞が存在した。これらの共産生細胞はSLE患者で多いが、一定のパターンはみられず、本研究における意義は低いが、これらの産生細胞サブセットの知見は今後の研究の土台となる知見と考えられた。 末梢血にIL-21産生T細胞が存在しSLEの病態を反映することは、治療介入時の様々な状況で解析が可能であることを意味する。今後、病態の理解を進めることで、引き続きIL-21の治療標的分子として展開が期待できると考えられる。
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