2013 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性気道炎症における共生細菌と制御性T細胞の意義に関する実験的研究
Project/Area Number |
23791104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 広顕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40579687)
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Keywords | アレルギー学 |
Research Abstract |
昨年度はT細胞の免疫抑制能の発揮にかかわる分子の一つとされるBlimp-1に注目して、アレルギー性気道炎症における役割を検証したところ、Blimp-1に抗線維化作用があることが判明したため、そのメカニズムの検討した。 まず組織線維化において中心的役割を果たすとされるTGFβの気管支肺胞洗浄液(BALF)中の濃度を測定したが、気道炎症を誘発したT細胞特異的Blimp-1KO(CKO)マウスでは濃度の上昇はなく、むしろ低下傾向を示しており、少なくともCKOマウスでの線維化亢進んにはTGFβの産生亢進が関わっていないと考えられた。そこでTGFβと並んで線維化促進因子として知られるCTGFのBALF中濃度を測定したところ、ハウスダストの繰り返し点鼻投与モデルにおいて、CKOマウスで濃度上昇を認めた。 また、T細胞のBlimp-1発現による線維化の抑制がアレルギー性気道炎症に限った現象ではないかどうかを検証するために、CKOマウスに対してブレオマイシン気管内投与肺線維症モデルを作製し野生型と比較したところ、線維化の程度に野生型との違いはなかった。よってT細胞が発現するBlimp-1による肺の線維化の抑制は、モデルに依存するものであることが判明した。 以上より、当初の目的であった共生細菌がアレルギー性気道炎症を抑制する可能性を示すことはできなかったが、LAG3+Tregで発現が亢進しているBlimp-1に注目すると、T細胞はBlimp-1の発現を介して、アレルギー性気道炎症における好酸球性炎症を促進する一方で、リンパ球浸潤と組織の線維化を抑制していることが示され、線維化抑制の機序の一つとして、CTGFの産生抑制が関与する可能性が考えられた。
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