2011 Fiscal Year Research-status Report
CCR9を介する関節リウマチ病態形成の分子機構の解明とその阻害による新規治療開発
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23791110
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡部 香織 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄付講座教員 (30581582)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / ケモカイン |
Research Abstract |
CCL25は、CCR9を介してリンパ球や単球/マクロファージに対する走化因子として作用し、炎症性腸疾患への関与が知られており、現在クローン病に対してCCR9阻害薬による臨床試験が行われている。そこでCCL25/CCR9相互作用には関節リウマチ(RA)の病態形成にも関与している可能性があると考え、RA滑膜におけるCCL25、CCR9の発現、CCR9阻害によるモデルマウスの関節炎抑制効果を解析した。 RA滑膜組織におけるCCL25、CCR9の発現を免疫染色にて解析したところ、CCL25、CCR9の発現は変形性関節症より亢進しており、二重染色にてCCL25はマクロファージ、CCR9はマクロファージ、樹状細胞、線維芽細胞様滑膜細胞、一部のCD4、CD8 T細胞にそれぞれ発現していた。In vitroで、CCL25刺激はRA由来の線維芽細胞様滑膜細胞からのIL-6、MMP-3産生亢進を誘導した。さらに、CCL25刺激により末梢血単核球からのIL-6産生が亢進し、M-CSF+RANKL併存下での単球からの破骨細胞形成も促進された。また、コラーゲン関節炎(CIA)マウスにCCR9阻害薬を投与したところ、関節炎スコアが有意に抑制された。 CCL25/CCR9はRA滑膜において炎症細胞遊走のみならず、線維芽細胞様滑膜細胞や単球、マクロファージからの炎症性メディエーター産生、破骨細胞誘導などにも関与し、新たな関節炎治療の標的となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに、RA滑膜組織におけるCCL25、CCR9の発現を解析でき、またin vitroでのCCL25刺激能も検討できた。また関節炎モデル動物におけるCCR9阻害による関節炎抑制効果も見出せた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウスコラーゲン関節炎に対するCCR9阻害の影響の詳細な解析、炎症細胞浸潤、骨破壊、Th分化、抗コラーゲン抗体産生に対する影響を解析する。また、CCR9欠損マウスを用いて、関節炎発症への影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究試薬(細胞培養試薬、抗体、ガラス器具)、およびマウス購入などの動物実験費に用いる。
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