2011 Fiscal Year Research-status Report
改良型モデル抗DNA抗体ノックイン・マウスにおける自己反応性B細胞制御メカニズム
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23791111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉藤 元 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20422975)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 膠原病学 |
Research Abstract |
旧来型の全身性エリテマトーデス(SLE)モデル「抗DNA抗体遺伝子トランスジェニック・マウス」および自ら開発した新モデル「抗DNA抗体遺伝子ノックイン・マウス」を用いて、SLE動物モデルにおいて「自己抗体産生B細胞」がどのように制御されているかを明らかにし、「自己抗体産生B細胞」を特異的に抑制するSLEの新治療法を目標としている。初年度は新モデルの表現型について解析した。新モデルである「抗DNA抗体遺伝子ノックイン・マウス」の野生型・ヘテロ接合(Hetero)型・ホモ接合(Homo)型の3者を比較するという手法を用いた。 抗DNA抗体遺伝子が導入されているはずのHomo型の血清において、抗DNA抗体をまったく認めなかった。Homo型の骨髄・脾臓を調べたところ、B細胞数が著明に減少しており、「自己抗体産生B細胞」が排除されていると考えられた。野生型・Hetero型・Homo型の間で、各成熟段階B細胞数を比較したところ、Homo型のB細胞は、骨髄において小型プレB細胞から未熟B細胞へと分化するきわめて未熟な段階で死滅していることが示唆された。またHomo型のB細胞は、脾臓において辺縁帯(marginal zone)に高い割合で分布する傾向を認め、自己反応性細胞と辺縁帯の関連が示唆された。 本成果により、本モデルにおいてB細胞が選択・排除されているメカニズムをさらに調べることによりSLEの病態解析につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フローサイトメトリー、免疫染色などの技術的な問題により、やや遅れている。研究代表者が留学中に使っていたフローサイトメトリー解析機とは異なる解析機を使うことになり、検知できる蛍光域などは機器により異なるため、新しい組み合わせの蛍光色素標識を持つ抗体を必要とした。抗体の種類や蛍光色素の組み合わせなどの実験条件を再度設定し、調整する必要が生じた。免疫染色についても新たな蛍光色素抗体を用いて条件設定を行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
生体の制御機構により自己反応性を失っていると考えられる「抗DNA抗体遺伝子ノックイン・マウス」Homo型のB細胞を機能面から解析するために、脾臓B細胞におけるカルシウム流入試験を行い、各種刺激に対するB細胞の反応性を野生型・Hetero型・Homo型の3者で比較する。 「自己抗体産生B細胞」が脾臓の中でどのように分布するかを調べるために、脾臓の病理標本を作製し蛍光免疫染色を施して野生型・Hetero型・Homo型の3者で比較する。 「自己抗体産生B細胞」の制御にどのようなサイトカインが働いているかを知るために、B cellの分化に重要なIL-6, IL-7, B-cell activating factor(BAFF)などの遺伝子・蛋白の発現レベルを、ELISAや定量的PCRにより測定し野生型・Hetero型・Homo型の3者で比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に引き続き、主にマウスの飼育やgenotyping、フローサイトメトリー(抗体、消耗品)などに研究費を当てる。
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Research Products
(2 results)