2012 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮細胞のタイトジャンクションを介した小麦抗原吸収機序の解明
Project/Area Number |
23791114
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
千貫 祐子 島根大学, 医学部, 助教 (00294380)
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Keywords | 食物アレルギー / 経消化管感作 / 経皮感作 / 小麦依存性運動誘発アナフィラキシー / 加水分解小麦 |
Research Abstract |
従来、食物アレルギーは食物を経口摂取することにより消化管で感作が成立してアレルギーを発症すると考えられていたが、近年、本邦において石鹸中の加水分解小麦で経皮感作されて小麦アレルギーを発症したと思われる患者(加水分解小麦型小麦アレルギー)が多発した。今後の食品や化粧品の安全性を確保するために、経消化管的に感作されたと思われる従来の小麦アレルギー患者(通常型小麦アレルギー)との相違点を明らかにし、加水分解小麦のアレルゲン性について早急に検討する必要があると考えた。我々は、抗原に対する好塩基球の反応性を活性化マーカーCD203cの発現を指標として解析する方法に着目し、加水分解小麦型小麦アレルギーの主要抗原と考えられる加水分解小麦と、通常型小麦アレルギーの主要抗原と考えられるω-5グリアジンをアレルゲンとして用いてCD203c測定を行った。その結果、加水分解小麦型小麦アレルギーではアレルゲンとして添加した加水分解小麦の濃度依存性にCD203cの発現増強が認められたのに対し、ω-5グリアジン添加ではCD203c発現増強は認められず、一方で通常型小麦アレルギーではω-5グリアジンの濃度依存性にCD203cの発現増強が認められたが、加水分解小麦の添加ではCD203cの発現増強は認められなかった。このことより、BATは負荷試験に代わる臨床検査として応用出来る可能性を有する。さらに、石鹸に含有されていた加水分解小麦を含む計6種類の加水分解小麦のアレルゲン性について、ウェスタンブロット法、好塩基球活性化試験、ゲル濾過クロマトグラフィーなどを用いて検証した結果、不完全な分解あるいは処理中の再重合による高分子量の蛋白質から成る加水分解小麦が高いアレルゲン性を有する可能性が示唆された。これらの解析結果は、経皮感作による食物アレルギー発症の予防に応用出来る可能性がある。
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Research Products
(4 results)