2011 Fiscal Year Research-status Report
G5PR過剰発現マウスにおけるB1細胞異常増加と自己免疫疾患発症機構の解明
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23791116
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北畠 正大 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (60457588)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 免疫学 / 自己免疫疾患 / B-1細胞 |
Research Abstract |
全身性自己免疫疾患の患者では自己抗体を産生する自己反応性B細胞の増加が認められる。これは自己反応性B細胞が細胞死を誘導せずに、増殖・活性化するためと考えられる。このような自己反応性クローンの識別と排除、活性化には抗原受容体シグナルが重要な鍵を握っている。申請者はB細胞の抗原刺激による活性化誘導細胞死 (AICD, activation induced cell death)を制御する分子G5PRに着目し、(1)G5PRが自己免疫疾患モデルNZBマウスにおいて異常増殖するB-1細胞で高発現していること、(2)雌性G5PR過剰発現マウスは加齢によりB-1細胞が増加し、自己免疫疾患を発症することを見いだした。これらの知見より、本研究ではG5PR過剰発現によるB-1細胞の異常増殖の原因を明らかにすることを目的とした。加齢G5PR過剰発現マウスの腹腔細胞の表現系を詳細に解析したところ、B-1a(CD5+CD11b+B220+)細胞が顕著に増加していた。B-1a細胞をセルソーターにより分離し、抗原受容体クロスリンクおよびLPSにより刺激したところ、誘導される細胞増殖に変化は認められなかった。一方で、抗原受容体クロスリンクによって誘導されるAICDは顕著に低下しており、細胞死の誘導に関わるJNKのリン酸化、活性化Caspase 3の低下が認められた。これらの結果から、G5PRは自己反応性B-1細胞の選択に関与し、その過剰発現は自己反応性B-1細胞の排除を阻害し、自己免疫疾患を発症させることが示唆された。これらの成果は第40回日本免疫学会総会・学術集会において口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、G5PR過剰発現によるB-1細胞の異常増殖の原因を明らかにすることを目的としており、その原因の一端がB-1細胞の細胞死の低下にあることを示せたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
抗原受容体シグナルは自己反応性クローンの識別と排除、活性化に重要な役割を担っていると考えられる。G5PRは抗原受容体シグナルの強度を調節し、B-1細胞の選択と排除に機能することが示唆された。次年度はG5PR過剰発現によるB-1細胞を含むB細胞の選択、分化、活性化への影響を詳細に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入試薬の納品の遅延等により未使用額があるが、おおむね予定通り研究費を使用し、成果を出した。次年度の研究費は、前年度の研究費の繰り越し分と合わせ、実験動物の維持および購入、実験試薬(抗体、蛍光色素、細胞培養関連試薬、分子生物学試薬等)の購入、プラスチック製品(培養および一般実験で使用するチューブ、ディッシュ、プレート等)の購入に使用する。また、成果発表のための費用(学会の参加費用、論文投稿費用、論文校正費用)、旅費等に使用する。
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Research Products
(3 results)