2012 Fiscal Year Annual Research Report
G5PR過剰発現マウスにおけるB1細胞異常増加と自己免疫疾患発症機構の解明
Project/Area Number |
23791116
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北畠 正大 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (60457588)
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Keywords | 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
全身性自己免疫疾患の患者では自己抗体を産生する自己反応性B細胞の増加が認められる。これは自己反応性B細胞が細胞死を誘導せずに、増殖・活性化するためと考えられる。このような自己反応性クローンの識別と排除、活性化には抗原受容体シグナルが重要な鍵を握っている。申請者はB細胞の抗原刺激による活性化誘導細胞死(AICD)を制御する分子G5PRに着目し、G5PRが自己免疫疾患モデルNZBマウスにおいて異常増殖するB-1細胞で高発現していること、雌性G5PR過剰発現マウスは加齢によりB-1細胞が増加し、自己免疫疾患を発症することを見いだした。これらの知見より、本研究ではG5PR過剰発現によるB-1細胞の異常増殖の原因を明らかにすることを目的とした。加齢G5PR過剰発現マウスの腹腔細胞の表現系を詳細に解析したところ、B-1a(CD5+CD11b+B220+)細胞が顕著に増加していた。B-1a細胞をセルソーターにより分離し、抗原受容体クロスリンクおよびLPSにより刺激したところ、誘導される細胞増殖に変化は認められなかった。一方で、誘導されるAICDは顕著に低下しており、細胞死の誘導に関わるJNKのリン酸化、活性化Caspase 3の低下が認められた。これらの結果から、G5PRは自己反応性B-1細胞の選択に関与し、その過剰発現は自己反応性B-1細胞の排除を阻害し、自己免疫疾患を発症させることが示唆された。また、G5PRはT細胞依存性抗原に対する免疫応答時に胚中心セントロサイトに選択的に発現上昇が起こり、胚中心での高親和性細胞の選択や自己反応性B細胞の出現に影響することが示唆された。これらの成果は第40回、第41回日本免疫学会総会・学術集会において口頭発表し、免疫学の専門誌である"Journal of Immunology"に掲載された。
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Research Products
(5 results)