2013 Fiscal Year Research-status Report
細菌性肺炎で抗G―CSF自己抗体が好中球機能を制御するメカニズムの解析
Project/Area Number |
23791119
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
渡辺 雅人 杏林大学, 医学部, 非常勤講師 (00458902)
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Keywords | 自己抗体 / 市中肺炎 / G-CSF / キャリアプロテイン |
Research Abstract |
具体的内容:平成23年度、24年度の実験結果をもとに、論文の執筆を開始した。論文の具体的な内容は以下の通り。 ① 血液中に微量に存在する自己抗体の測定するために、我々が新たに開発した方法の論文。血清をG-CSFを結合したアフィニティークロマトグラフィーに結合させ、結合したG-CSF自己抗体を溶出後に抗体価を測定する。② 好中球性炎症である市中肺炎でG-CSF自己抗体の産生が促進される。③ 抗G-CSF自己抗体は非中和抗体である。血清中の自己抗体とG-CSF自己抗体が複合体を形成する。この免疫複合体はG-CSF活性を示すことから、自己抗体はG-CSF活性を安定化させるキャリアプロテインである。 意義:① 従来の方法では検出できなかった微量な自己抗体を測定できるようになった。② 細菌感染症/好中球性炎症が自己抗体の産生刺激になることを明らかにした。③ 自己抗体の新たな生物学的意義である、キャリアプロテインとしての働きを明らかにした。 重要性:① 微量な自己抗体を検出する技術を開発した。自己免疫における抗体産生のメカニズムに関する研究を前進させる可能性がある、重要な方法論といえる。② 感染症が自己免疫疾患の増悪因子であることは経験的には知られていたが、その生物学的メカニズムは不明な点が多かった。我々は、細菌感染症が自己抗体産生を促すとの知見を見出し、間接的に細菌感染症と自己免疫疾患の増悪との関係を証明した。③ これまでは、自己抗体が抗原物質(自己由来の物質)を中和することが知られていたため、自己抗体は病原物質と考えられていた。自己抗体がキャリアプロテインとして働く事実は、全ての自己抗体は病気の原因物質ではなく、抗体の性質によって、むしろ免疫を安定化に寄与する自己抗体もあると分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度、24年度の実験で当初予定した以下の研究はほぼ終了した。 ① 抗G-CSF自己抗体の精製・測定系の開発。 ② 自己抗体の機能の解析(抗G-CSF自己抗体は非中和抗体で、キャリアプロテインである。) ③ G-CSF‐自己抗体免疫複合体の測定系の開発。 上記を踏まえ、論文の執筆を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
論文を執筆し、本研究の成果を国際的に発表する。 ① 自己抗体の新たな測定法に関する論文。 ② 細菌感染症が自己抗体の産生を促すのと論文。 ③ G-CSF-自己抗体免疫複合体がG-CSF生物活性を有するとの論文。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験が順調に進んだため、実験試薬の購入を目的に、平成24年度に研究費 60万円を前倒し請求した。当初の予定より、試薬の費用を節約できたため、やく61万円分を平成26年度に繰り越すことができた。 論文執筆後の英文校閲の費用。情報収集のために参加する、国際学会の旅費および参加費に使用する予定である。
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