2012 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおける関節破壊予測因子の同定とテーラーメイド治療の実現
Project/Area Number |
23791120
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金子 祐子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60317112)
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Keywords | 関節リウマチ |
Research Abstract |
新規未治療関節リウマチ患者から採取した血液を,比重遠心法によって単核球,多核白血球を分離し,得られた単核球をflow cytometryを用い,3-color解析によってT,B,NK細胞population分画や活性化T細胞,制御性T細胞について詳細に測定した.また,全例およびサブ集団としてMTXによる治療を行われている患者を抽出し,血清でcytokine-chemokine multiplexを利用して,VEGF,IL-1b,IL-17A,soluble TNF receptor II,IL-6,IL-10,INF-g,MCP-1,TNFαについて経時的に測定し,MTXは血清IL-6を低下することにより疾患活動性および関節破壊抑制効果をもたらす反面,TNFの反応は乏しいという結果を得た.これらは臨床的に抗TNF製剤はMTX併用で奏功するのに対し,抗IL6製剤は単剤で有効性を発揮することを説明可能な結果である(論文作成中).また,分離した多核白血球からDNAを抽出し,HLA typingおよびSNP解析を行い,SNPによってTNF阻害薬やIL6阻害薬の有効性に差が出る結果を得ており,さらなる検討を施行中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の遅延の影響を受ける形で,やや計画達成に遅延が生じている.8割の関節リウマチ患者血清中存在するリウマチ因子が,特に高値の場合に,測定サイトカイン値に干渉する可能性が認められ,測定前にリウマチ因子吸収等の検体処理が必要と考えられ,調整のための系の確立に時間を要し,これまでの測定結果についても値の検証と再測定を余儀なくされたことから,サイトカイン測定計画に遅延が生じた.また分離した多核白血球からDNAを抽出し,治療効果予測のためにSNPを解析してきたが,この検討にしてターゲットする治療薬としてTNF阻害薬に追加してIL6阻害薬を含めて検討を開始する際に,SNP選別抽出とプライマー作成が必要となり計画に遅延が生じた.また,通常の関節リウマチとは臨床症状が異なり,別のサブグループを形成していると考えられる高齢発症関節リウマチについても,若年発症関節リウマチとの比較で,SNP解析,HLA typingや血清学的因子,リンパ球表面マーカーの相違を検討し,病態解明を行う予定であったが,もともと母集団の人数が少ない上,治療介入状態での紹介であることが多いため,未治療状態でのリクルートおよび検体収集が難航したため,計画に遅延が生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,患者リクルートとDNA,血清サイトカイン測定を進めていく.分離した多核白血球からDNAを抽出し,DR4やshared epitopeの存在が関節破壊進行と関係したとする報告が海外を中心にあるが,日本人はDR4陽性が海外に比して多いことに加えallele型多様性が高く議論の残るところであり,PCR/SSP解析によりHLA typing (HLA-A,B,DR,DQ,DP)を行う.海外または本邦で関節リウマチとの関連性が報告されているPADI4,SLC22A4,FCRL3,CUL1,RUNX1などの遺伝子多型についてSNP解析を行う.また治療介入後の単核球subset,VEGF,IL-1b,IL-17A,soluble TNF receptor II,IL-6,IL-10,INF-g,MCP-1,TNFαなどのcytokine・chemokine profile,自己抗体測定をリウマチ因子調整後に経時的に行う.免疫調整剤や免疫抑制剤を変更する際,疾患活動性が急激に変化した際には,臨時で血液を採取し,疾患活動性や治療にリンクしてリンパ球population分画 とcytokine・chemokinを測定する.生物学的製剤使用患者に関しては,使用生物学的製剤に対するhuman anti-chimeric antibody,human anti-human antibodyについても測定する.これまでに抗TNF製剤の1つであるインフリキシマブにおいて指摘されているTNFモノクローナル抗体製剤に対するinfusion reactionと免疫グロブリンFcgamma受容体のgenotypeの関与についても,他の製剤を含めて有害事象発生や二次無効との関係性についても検討する予定である
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本計画に必要な設備備品は既に申請者が所属する研究施設に存在するため,本研究経費は消耗品,試薬購入と,学会での成果発表,論文校閲,投稿費用に使用される.消耗品,試薬は,主に可溶性RNPに対する自己抗体測定や,PADI4,SLC22A4,FCRL3,CUL1,RUNX1などの遺伝子多型関するSNP解析,生物学的製剤に対する有効性を規定することが疑われるSNPに対する解析,PCR/SSP解析によるHLAtypingなどの遺伝学的情報測定,プライマー作成,リンパ球表面マーカーおよび高感度ELISA法によるVEGF,IL-1b,IL-17A,soluble TNF receptor II,IL-6,IL-10,INF-g,MCP-1,TNFαcytokine・chemokine測定のための試薬および消耗器具,ELISAプレート購入費用,Fcgamma受容体ジェノタイプ測定等である.また,前年度の計画遅延の影響を受ける形で,本年度もやや計画に遅延が生じているが,次年度も患者リクルートと検体収集,測定を進めていく予定である.
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