2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791129
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Research Institution | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
梶原 直樹 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (70453917)
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Keywords | 炎症 / アレルギー / サイトカイン |
Research Abstract |
Interleukin (IL)-16はリンパ球の遊走物質として同定されたサイトカインであり、CD8陽性T細胞などから産生される。接触皮膚炎や喘息といったアレルギー疾患の発症および病態形成におけるIL-16の関与が示唆されているが、IL-16は多面的な機能を有するため、その役割には不明な点が多く残されている。そこで、本研究ではIL-16欠損マウスを用いて接触皮膚炎などのアレルギー病態におけるIL-16の機能解析を行った。 フルオレセインイソチオシアネートによる接触皮膚炎の初期反応はIL-16欠損マウスで軽減された。しかし、CD8陽性T細胞由来のIL-16の機能を探るため、IL-16欠損マウス由来のCD8陽性T細胞を移入したRag-2欠損マウスに接触皮膚炎を誘導したところ、初期反応は抑制されたものの、ハプテン塗布後1週間を過ぎると遅発性の強い炎症反応が起き、ほとんどのマウスが死亡した。この異常な遅発性の炎症反応時にマウス体内でどのような変化が起きているのかを調べるため、血清中のサイトカイン濃度をELISAにて測定した。その結果、IL-16欠損マウス由来のCD8陽性T細胞を移入したRag-2欠損マウスではIL-17Aが有意に高い値を示し、IL-6にも増加傾向が見られた。また、血清サンプルの血液生化学検査を行ったところ、GOT、GPTの上昇、アルブミン、A/G比の低下といった肝機能障害がIL-16欠損マウス由来のCD8陽性T細胞を移入したRag-2欠損マウスで観察された。 本研究成果より、IL-16はアレルギー性炎症において、免疫誘導機能だけでなく免疫抑制機能も持つことが明らかとなった。今後、IL-16を産生するCD8陽性T細胞中の制御性細胞に関する研究が進展すれば、新たな免疫制御機構を提示できると思われる。
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Research Products
(1 results)