2011 Fiscal Year Annual Research Report
多機能ジーンエクスプレッサーを用いた次世代微生物検査システムの研究
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23791132
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
八田 益充 東北大学, 大学病院, 助教 (80528258)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 多機能遺伝子解析 / 早期検出 |
Research Abstract |
平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、研究遂行に欠かせない機器である多機能ジーンエキスプレッサーGENOMELAB GeXP(以下GeXP)が損壊する被害を受けた。当初は、平成23年9月頃までに修理が完了する予定であったが、その修理には想定していたより多額の費用がかかることが判明し、今後の使用再開の目途が立たない状況となった。 そのため平成23年度は、当初予定していたGeXPを用いた研究自体は行えなかったものの、病原微生物の遺伝子的同定および薬剤感受性を検討するため、以下の2つの研究を行った。 (1)感染性心内膜炎の起炎菌についての遺伝子的な菌の同定 (2)抗菌薬の薬剤感受性測定方法の違いによる感受性結果の乖離についての研究 上記研究(1)では、従来の培養同定法では正確な同定が困難な症例に対して16SリボゾーマルRNAを用いた遺伝子的な菌同定を行い、研究内容を直接医療の現場にフィードバックすることができた。具体的には、Grapu/icatella adiacensという培養同定が困難な菌による心内膜炎症例3例(東北大学病院)の診断において、血液培養分離株および手術時の心臓弁組織検体を用いて16SリボゾーマルRNA遺伝子に基づいた原因菌の正確な同定を行った。このような微生物の遺伝子的同定法は、抗菌薬治療がすでに開始され培養検査で検出できない場合においても手術検体から同定可能であり、菌の正確な同定に基づいた抗菌薬の適正使用にもつながる重要な検査方法であると考えられた。また研究(2)については、院内感染の重要な原因菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対して、その薬剤感受性方法の違いによりバンコマイシンやテイコプラニンなど一部の抗菌薬の感受性結果に乖離が生じることが判明し、今後薬剤耐性菌に対する有効な治療法を確立していく上で重要な知見が得られた。
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Research Products
(3 results)