2011 Fiscal Year Research-status Report
TDM対象抗菌薬のクリアランスに基づくTDM非対象抗菌薬の投与量設計に関する研究
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23791133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 武人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00376469)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 投与量設計 / 抗菌薬 / TDM / 個別化薬物療法 / PK/PD理論 |
Research Abstract |
本研究は、Therapeutic drug monitoring(TDM)が保険適応されているアミノグリコシド系抗菌薬(AGs)およびグリコペプチド系抗菌薬(GPs)のクリアランス(CL)を用いて、TDMが保険未承認であるが、AGs、GPsと併用されることが多いセフェム系(CFs)、カルバペネム系(CBs)、ニューキノロン系(NQs)等の腎排泄型抗菌薬の投与量を論理的に設計する方法論を構築することを目的として、2年計画で実施している。研究初年度である平成23年度には、薬物濃度の測定対象となるTDM検査後残検体の収集と並行して液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)を用いた抗菌薬の一斉定量系の構築を試みた。分析対象薬剤は、東京大学医学部附属病院(以下当院)における抗菌薬の使用状況を基に、セフェピム、セファゾリン、セフトリアキソン、ピペラシリン、メロペネム、ドリペネム、イミペネム、シプロフロキサンとした。当初の予測に反し、一部の薬物で分離が困難なものがあり、分離条件や特殊カラムによる分析などの検討を要したため、予定よりは若干遅れたものの、定量系はほぼ完成している。一方で、臨床検体の収集については極めて順調に進行しており、当該検体の患者背景情報の集積も順調に進んでいる。平成24年度には早急に臨床検体の分析と薬物動態解析を行い、TDM対象抗菌薬と非対象抗菌薬のCLの比較を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度には、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)を用い、微量の検査後残血清中に含まれる抗菌薬の一斉定量系の構築を行い、構築された測定系を用いて、TDM検査後残検体中の抗菌薬濃度を網羅的に測定し、TDM対象抗菌薬と非対象抗菌薬のクリアランスの相関を検討することを主要な検討項目としていた。LC-MS/MSを用いた抗菌薬の一斉定量系の構築については、一部薬剤で分離・検出条件の設定に予測よりも多くの時間を要したものの、ほぼ構築は完了している。また、臨床検体の収集については極めて順調に進行しており、当該検体の患者背景情報の集積も順調に進んでいることから、今後早急に臨床検体の分析と薬物動態解析を行い、TDM対象抗菌薬と非対象抗菌薬のCLの比較を実施することが可能な体制となっている。一方、本研究の過程で集積されたデータも用いた薬物動態学的な解析により、急性期病棟においてよく用いられる処置である持続血液濾過透析を施行されている患者におけるTDM対象抗菌薬のクリアランスの予測法を構築することに成功し、これをTDM非対象抗菌薬へ拡張していくための礎を築くことが出来た。以上の進行状況を総合的に自己評価し、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の最終年度である平成24年度には、まず、構築した抗菌薬の一斉定量系を用いて、収集した臨床検体の分析を行い、TDM対象抗菌薬と非対象抗菌薬のCLの比較を進める。この検討により得られるTDM対象抗菌薬とTDM非対象抗菌薬のCLの定量的な関連性を基に、TDM非対象抗菌薬の血中濃度シミュレーションを行い、PK/PDも考慮した最適投与量設計を行う。すなわち、過去に報告されている抗菌薬の目標PK/PDパラメーター(CFs、CBsでは%TAM、NQsではCpeak/MINおよびAUC/MIC等)を達成するための投与量・投与間隔を算出する。なお、PK/PDパラメーターの算出にはMIC値が必要であるが、まずは一般に報告されているアンチバイオグラムを参考にMICを設定する。その上で、最終的にAGs、GPsのCLとTDM非対象抗菌薬の最適投与量とを対応させたノモグラムを作成する。一方で、将来的な臨床での使用を考慮して添付文書用量で抗菌薬を投与した際の予測されるPK/PDブレイクポイントに関するノモグラムも併せて作成する。さらに、抗菌薬を併用した症例を対象としてレトロスペクティブな調査を行い、整合性の取れている患者群と取れていない患者群(特に併用抗菌薬が過量投与となっている症例)との間で腎機能障害等の副作用の発症頻度や重症度に差異があるか否かを確認する。一方で、臨床症例においては抗菌薬による毒性以外の腎機能障害の要因を完全に排除することが極めて困難であることも考えられるため、必要に応じて実験動物を用いた検討も並行して実施する。これらの検討を基に、本研究の最終的な目的である、TDM対象抗菌薬のCLに基づくTDM非対象抗菌薬の論理的な投与量設計法を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の使用計画を以下に記載する。平成24年度には、まず大量の臨床検体をLC-MS/MSにより分析するため、LC-MS/MS用消耗品である分析カラム、前処理用プラスチック機器、試薬の購入が必要となる。また、必要に応じて腎機能変動の評価のための動物実験に使用する実験動物や消耗品も購入する。また、本研究では、PK/PD理論に基づき投与量設計を行うが、PK/PDパラメーターについては研究が急速に進展していることから、最新の情報を収集するため、関連学会への参加も予定している。今年度の研究費はこれらの目的に使用する予定である。
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