2013 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルギルス・バイオフィルムに対する宿主免疫応答メカニズムの解明
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23791138
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
今村 圭文 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90467960)
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Keywords | 肺アスペルギルス症 / バイオフィルム / サイトカイン |
Research Abstract |
(1) アスペルギルスに対する宿主免疫の反応の解析:ヒト末梢血単核球細胞THP-1およびヒト肺胞上皮細胞H292を用いて、アスペルギルスと共培養を行った。アスペルギルスは培養開始後、休止分生子→膨化分生子→菌糸の伸長→バイオフィルムの形成、と段階的に成長していく。膨化分生子までは、宿主細胞との共培養でも炎症性サイトカインの産生は見られなかったが、菌糸伸長の段階では、THP-1からIL-8, TNF-αなどの炎症性サイトカイン産生が惹起された。成熟したバイオフィルムでは、菌糸伸長段階よりサイトカイン誘導能が低下していた。H292においても炎症性サイトカインが産生された。 (2) α-グルカナーゼがアスペルギルスバイオフィルムの形成に与える影響についての検討:α-1,3-グルカンは、アスペルギルスバイオフィルムの主たる構成成分と考えられている。その溶解酵素α-グルカナーゼを用い、浮遊菌からバイオフィルム形成に到るまでの影響を検討した。α-グルカナーゼ添加群では、アスペルギルス分生子の凝集が抑制された。また、気道上皮細胞H292 cell layer上への分生子接着は、α-グルカナーゼの添加により抑制された。 (3) α-グルカナーゼによる炎症性サイトカイン産生変化:菌糸伸長段階のアスペルギルスとTHP-1の共培養では、α-グルカナーゼを添加することでIL-8、TNF-αといった炎症性サイトカインの産生が増加した。ヒストプラズマではα-グルカンがβ-グルカンを覆うことで宿主免疫から逃れているという報告、またA. fumigatusでもα-グルカンそのものが宿主の免疫プロファイルに影響を与えるという報告がある。本実験では、α-グルカンの添加により、真菌表面のα-グルカン量が低下し、表面に曝露されるβ-グルカンが増えるためサイトカイン産生量に影響があったと推察される。
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