2012 Fiscal Year Annual Research Report
HIVの薬剤耐性発現に伴うGag蛋白自壊の分子学的・構造学的解析
Project/Area Number |
23791140
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
天野 将之 熊本大学, エイズ学研究センター, 研究員 (30575080)
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Keywords | Capsid自壊 / HIV-1 Gag蛋白 / アミノ酸挿入変異 / Capsid阻害剤 |
Research Abstract |
我々は以前、長期間の治療後に治療不応性となった患者由来の多剤耐性臨床分離HIV-1株を用いて、Gag領域の開裂部位周辺に挿入変異が入る事により、薬剤耐性関連変異によって減衰したHIV PRのGag前駆蛋白に対する酵素活性が改善する事を報告したが(Tamiya & Mitsuya et al, J Virol. 2004)、このような挿入変異による代償は完全ではなく、薬剤耐性株の複製能は野生株と比し依然劣ったままである事が多い。このため我々はGag挿入変異がGag前駆蛋白のprocessingや変異株の感染性および複製能に対し影響を及ぼし得ると仮定、Gag領域の様々な位置にアミノ酸配列を挿入した変異株を多数作成し、各変異株を細胞にtransfection (TF)後、得られたcell/ virion lysatesを用いてHIV-1 Gag Capsid(CA)抗体によるwestern blottingを行ったところ、挿入変異株において異常なCA蛋白の変性によると考えられるdegradation(自壊)産物が出現する事を確認した。この結果より特定部位に挿入変異を有するCA蛋白を分解の方向に進ませる何らかの機序の存在が示唆された為、挿入変異によるHIV-1の構造学的・ウイルス学的特性の変容について詳細な検討を行っている。当該年度において、結晶構造解析データよりCAの挿入変異により自壊を来たす特定部位近傍の蛋白表面に低分子化合物が結合し得る充分な空間を有する疎水性cavityを同定、in silico flexible docking simulationの手法を用いて、800万超の化合物データよりHIV-1 Capsid阻害という新たな機序でHIV増殖を抑制し得る化合物の検索を行い、試験管内でHIV-1阻害活性を有する29種類の化合物群を新たに発見した。
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Research Products
(7 results)