2013 Fiscal Year Annual Research Report
高病原性を示す肺炎桿菌臨床分離株の遺伝学的特徴と病原因子に関する研究
Project/Area Number |
23791143
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
原田 壮平 東邦大学, 医学部, 非常勤研究生 (30591630)
|
Keywords | 肺炎桿菌 / 莢膜血清型 / 病原因子 / MLST / パルスフィールドゲル電気泳動 / rep-PCR |
Research Abstract |
本研究の第一の目的は本邦の肺炎桿菌臨床分離株における高病原性株、特に莢膜血清型K1株、K2株およびrmpA遺伝子保有株の疫学を調査することである。過去の知見から、これらは侵襲性感染症や肝膿瘍との関連が高いと推測されている。 前年度までに日本全国の51医療機関から収集された肺炎桿菌259株の解析により、このうち14株がK1株、16株がK2株、42株がrmpA遺伝子保有株(うち、K1株は12株、K2株は8株)であることなどを確認した。ただし、これらの収集株は様々な身体部位から分離された菌株であり感染症の起因菌か否かは定かでなかった。 そこで、平成25年度は全国23施設において倫理委員会承認を受けて、平成25年12月から平成26年3月の期間に血液培養から肺炎桿菌が検出された患者のうち本人あるいは代諾者の了承が得られた例をエントリーし、血液培養から検出された菌株を収集するとともに、患者背景(基礎疾患、免疫不全の有無など)、発症状況(市中、院内、医療関連)、感染臓器、感染症の重症度などの臨床情報を収集した。エントリー患者数は148名となった。収集された血液培養由来の肺炎菌株(感染症の起因菌株であることが確実である)のうち、8株がK1株、9株がK2株、19株がrmpA遺伝子保有株(うち、K1株は7株、K2株は6株)であることをPCRで確認し、上述の様々な部位から臨床分離された肺炎桿菌の疫学と顕著な差異は認められなかった。収集株についてはさらに全ゲノムシークエンシングを実施しており、今後、得られたゲノム情報からMultilocus sequence typingによるST typeの決定、主要病原因子プロフィールの確認、耐性遺伝子保有の確認を行う予定である。さらにこれらの菌株遺伝子情報と臨床情報との照らし合わせにより、臨床像との関連を解析する予定である。
|