2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791149
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
橋本 多恵子 山形大学, 医学部, 助教 (30507629)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | リポ蛋白糸球体症 / ApoE-Sendai / アポリポ蛋白E |
Research Abstract |
リポ蛋白糸球体症は,主にアポE蛋白遺伝子変異による腎疾患で半数が腎不全に至る.なかでもApoE-Sendai変異が最も多く,この変異を有する症例の殆どは山形県に由来することから,山形県における変異頻度の高さが推察される.最近,効果的な治療法が確立されたことから,早期発見・治療が求められる.本研究では,山形県における遺伝子頻度や腎不全における本疾患の割合を調べ,早期発見治療の対策を講ずることを目的とする.また,遺伝子変異を有していても発症しない人を検出し,発症者と比較検討することにより,他の発症要因の解明を試みる。【対象と方法】山形県内の基幹病院にて出生し,保護者より書面にて研究協力の承諾を得た新生児を対象とし、山形県におけるApoE-Sendai変異の遺伝子頻度について調査した.検査標本としては,先天代謝異常マス・スクリーニングの検査に用いた残りの濾紙血から、DNAを抽出し、TaqMan(R) SNP Genotyping Assaysにより遺伝子変異をスクリーニングした。【結果】 山形県内4基幹病院のそれぞれ200検体、計800検体の解析を終了したが、現時点ではApoE-Sendai変異の保有者は検出されていない。【考察】現時点では遺伝子変異をスクリーニング検査で検出されていないが、さらに検体数を増やし、変異保有率を検索する。また、山形県内の透析患者におけるApoE-Sendai変異保有者の割合を算出し山形県における、腎不全患者内でのリポ蛋白糸球体症の占める割合を算出する.ApoE-Sendai変異を確認した症例では,遺伝カウンセリングを施行し,家族および血縁者におけるリポ蛋白糸球体症の発症の危険性を説明し,それらの検索を勧める.協力が得られれば,臨床所見,一般尿検査や血漿脂質分析を行い,注意深くフォローアップし,発症が確認された場合には早期に治療介入する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画として、山形県におけるApoE-Sendai変異の遺伝子頻度について明らかにするために、山形県内の基幹病院にて出生し,保護者より書面にて研究協力の承諾を得た新生児を対象とした。山形県における代表的な基幹病院(庄内地区:日本海総合病院、置賜地区:米沢市立病院、村山地区:済生会済生病院、最上地区:山形県立新庄病院)の協力を得て,それぞれの倫理委員会の遺伝子検索頻度調査への協力への承諾を得た.検査標本としては,先天代謝異常マス・スクリーニングの検査に用いた残りの濾紙血を用い、この検索のために新たな採血を要しないようにした.濾紙血からゲノムDNAを抽出し,TaqMan® SNP Genotyping Assaysにより遺伝子変異をスクリーニングした。山形県内4基幹病院のそれぞれ200検体、計800検体の解析を終了したが、現時点ではApoE-Sendai変異の保有者は検出されていない。ApoE-Sendai変異の報告は山形県の最上地区からの症例報告が集積していることから、最上地区には変異保有者が比較的散見され、他の地区には変異保有者が認められないのではないかと考えていたが現時点では検出されていない。そもそもが頻度が低い疾患であることもあり検体数が、総数としてまだ少ないことも、検出されない原因の一つと考えられるため、引き続き検索検体数を増やして、正常人口における変異保有率のデータを蓄積していく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、山形県におけるApoE-Sendai変異の遺伝子頻度について明らかにするために、山形県内の基幹病院にて出生し,保護者より書面にて研究協力の承諾を得た新生児を対象とし、検査標本としては,先天代謝異常マス・スクリーニングの検査に用いた残りの濾紙血を用い、遺伝子変異のスクリーニングを続ける。変異が検出された新生児では,ApoE遺伝子に関して塩基配列を決定し,遺伝子変異を確認する.変異の保有者に対しては,面会し説明することも事前に承諾を得ることにしており,遺伝専門医が面接し情報を提供し,早期発見・治療を可能とする. また、山形腎不全研究会に登録している透析施設に依頼し、同意を得られた患者さんから血液を採取し,DNAを抽出しApoE-Sendai変異をスクリーニングする.変異が検出された症例は,ApoE遺伝子の翻訳領域をPCRで増幅し塩基配列を確認する。ApoE-Sendai変異を確認した症例では,遺伝カウンセリングを施行し,家族および血縁者におけるリポ蛋白糸球体症の発症の危険性を説明し,それらの検索を勧める.協力が得られれば,臨床所見,一般尿検査や血漿脂質分析を行い,注意深くフォローアップし,発症が確認された場合には早期に治療介入する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
リアルタイムPCRに関わる器材や研究試薬等の消耗品の購入(taqman probeや、プライマー、反応試薬、エッペンなどの容器、ピペットなど)国内外でのリポ蛋白糸球体症や腎疾患に関連する学会への参加旅費(日本腎臓学会、小児腎臓学会等の学会参加など)研究協力者・研究補助者などへの異動旅費(各協力基幹病院、透析病院への旅費、検体運搬費など)通信費など。また研究成果発表のための経費、学会参加費、切手・電話などの通信費などに使用予定である。
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Research Products
(2 results)